「泣く子はいねぇが」でトーク

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 2020年公開の映画「泣く子はいねぇが」が26日、秋田に帰ってくる。秋田市のAL☆VEシアターで午後3時上映。秋田市出身・佐藤快磨監督のトークショー付きである。

 同窓の縁で私が司会を務める。デジタル化が進み高性能なスマートフォンが普及し、映像製作のハードルが極端に下がり、秋田でも多くの人が映像を作り発表しやすくなってきたことを踏まえて、今回、プロの映画監督が映画作りについて語る、と言う趣向のようである。

 映画は男鹿のナマハゲ行事がモチーフになっているが、若さや成長の痛みが胸に刺さる。笑いとせつなさが重ねられ、観客は共感と否定がないまぜになって心をざわつかせるような「青春映画」と言ってもいいかもしれないと思う。

 この機会に劇場のスクリーンで多くの人にみて欲しいと思いつつ、当日の監督とのトークを考えるだけで吐きそうになるほど緊張している自分がいる。困ったものだが、映画好きにとって映画監督は神様に近い存在なのだ。仕方ない。

(朝日新聞秋田版 2025年4月25日掲載)

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「あーまん」から目が離せない

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 日本全国で「ご当地キャラ」と言われるマスコットが定着して久しい。秋田県内でも、地域や企業、団体のプロモーションを担う様々なキャラクターたちが数多く活躍中だ。

 そんな中、異色の存在がいる。皆さんはご存じだろうか? 秋田県非公認ヒーロー「あーまん」! 何が異色かと言うと、まず「独立」している。どこかや何かの広告媒体ではない。勝手気ままに行動する。そして「しゃべる」。

 ついでに言っておくと、一般的に「ヒーロー」と呼ばれるような見た目ではない。活動を始めて4年目らしいが、どんどん認知度が上がり、被災地への支援活動にも積極的で、活躍の幅が広がっているようだ。

 先日、その「あーまん」に初めて会った。色々話すこともできたのだが、とてつもなくエネルギッシュで楽しく、面白い。存在そのもの、というか態度はふざけているし、口も悪いが、結構誠実なヤツと見た。

 もう目が離せない。間違いなく、これからも秋田を元気にしてくれるヒーローだ。

(朝日新聞秋田版 2025年3月28日掲載)

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美味・時間・空間を堪能

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 「サタナビっ!」ではいろんな所へ出かけて行って、いろんなものを食べたり飲んだりしている私だが、実は自分自身では外食をする機会はそれほど多くない。

 特に夜の食事となると何か特別なお祝いでもない限り、出かけることはほとんどないかもしれない。

 それでも、若いころはデートするならどこの店のあの料理、みたいな調子のポパイ世代で、バブルもグルメブームも全身で浴びていたのだが……。

 今だって出かけたくないわけではないし、行きたい店もあるので、時々はプロフェッショナルのサービスを堪能している。

 というわけで、昨年秋に結婚したお笑い芸人・ちぇすの長谷川瞬さんのお祝いにかこつけて、久しぶりにレストランで食事をした。夫婦同士、ひたすら楽しかった。

 地場の食材も多く使われた素晴らしい料理に、ペアリングされたどうしようもなくうまいワインの数々。ソムリエの気遣いにたっぷり甘え、深夜までその美味と時間と空間を味わった。おそらく、酒を飲まない長谷川さんも楽しんだはずである。

(朝日新聞秋田版 2025年2月28日掲載)

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変わり続け 変わらない魅力を

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 県外にいた若いころは、17年で7回転居したほど落ち着きがなかった。同じことを繰り返すのが嫌いな、いわゆる飽き性なのであった。

 そんな人間が同じ所に住み続け、同じ仕事をし続けているというのは、年を重ねたことも影響しているのだろうか。新しいことを始める力が年々しぼんでいっている自覚はあるので、今はもっぱら他人任せである。そんなわけだからいろんなことがうまく回らない。わかっちゃいるが無理もいけない。

 放送開始22年目を迎えている「サタナビっ!」も少しずつ変わってきている。内容も、関わる人たちも。個人的にはもっとどんどん変わってどんどん新しくなってほしいと思っているところだが、昨年、久しぶりに新しい出演者、榎くるみさんが加わった。

 新人が加入する度に、これは良い機会で、よどみに流れを生んで先につながる力になるかなって思う。実際はなるようにしかならないわけだけども。「変わり続けることで変わらない魅力を」。変わらぬ目標だ。

(朝日新聞秋田版 2025年1月31日掲載)

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それでも、新しい年はやって来る

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 ハンコ屋に来たお客様から「良いお年を」と言われてドキッとした。もうそんな時期? たしかに12月も2週目に入っていたころで、年内最後のあいさつだとしても納得なわけだけど、まったく自覚がなかっただけに不意を突かれてしまったのだ。

 考えてみると毎年そんな感じだ。12月に入ると「うわ、今年ももう終わりかよ、はえー」なんて意味もなくあせった感じが湧き上がったりするんだけれど、三歩あるけば忘れてしまう。

 今年はハンコ屋も「サタナビっ!」も偶然同じ28日が仕事納めなのできりが良い。だから自分としては例年にないくらい年末感を感じられるかもしれない、なんて思っている。とはいえ何か変わるわけでもないだろうとも思う。いずれにせよ、ぼんやりしているのである。そうやって年末を迎え、「ああ、あれもしてない、これもできてない、忘れてた」と、おたおたするのが常である。

 それでも、新しい年はやってくる。「サタナビっ!」は1月11日が新年最初の放送。みなさん良いお年を!

(朝日新聞秋田版 2024年12月27日掲載)

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映画をめぐるおしゃべりを動画で

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 「サタナビっ!」にも出演するお笑いコンビ「ちぇす」の長谷川瞬さん(先日入籍したようで、めでたい)は映画好きで知られている。しかも、ただ観(み)るのが趣味の私と違って、ネット上で映画の面白さや映画館のスクリーンで観る楽しみなどを定期的に発信しているのだ。

 先日、その動画配信の収録に呼ばれた。秋田市内のおしゃれなカフェである。おいしいカフェラテをいただきながら、映画館で最近観た映画や映画にまつわる雑談を、4人の出演者でワイワイおしゃべりしてきた。

 ホストである長谷川さんがただの雑談にならないように話の構成を考えつつ、勝手に個人の感想をぶちまけるゲストの私をうまくコントロールしてくれたが、結果的には予定した時間をはるかに超えてしまい、場所を提供してくれた店にも迷惑をかけてしまったのではないかと反省している。

 すべて私がしゃべり過ぎたせいである。ネットに公開するときはうまく編集してくれるはずだけど、今のうちに謝っておきます。

(朝日新聞秋田版 2024年11月29日掲載)

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同じレシピ 人の数だけ違う料理に

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 先日、仕事で久しぶりに料理を披露することになった。私が家庭で作っている春巻きを「サタナビっ!」のなかで紹介し、後日、同じものを湯沢市のセミナーの参加者全員で一緒に作るという段取りだったが、苦労したのが「レシピ」づくりである。

 料理を作ること自体には何の問題もないのだが、問題は調理する作業を数値化、文章化することなのだった。普段のいい加減な分量と感覚だけの作業、それを数字にするために同じものを4回作る羽目になった。

 そして手順を他人に伝えるための「文章化」が、またやっかいな仕事だった。そもそも、レシピが同じでも100人が作ったら100通りの料理が出来上がるはず。家庭によって道具も素材もそれぞれなのだから、違って当たり前でしょ。だから、レシピはただの参考程度に考えて、自由に作っていいんじゃないかと考えている。

 湯沢の会場でも参加者それぞれのユニークな料理が完成し、楽しく食事をすることができた……と思っているんだけど。

(朝日新聞秋田版 2024年10月25日掲載)

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格安に温泉旅行気分 赤倉山荘の使い方に新発見

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 私の知る限り、五城目町には小倉温泉、湯の越温泉、赤倉山荘と三つの泉質の違う温泉がある。それぞれ日帰りで利用できるので、この6、7年通い続けている。

 もともと、子どものアーチェリーの練習場所が五城目町にあったので、その送迎ついでというか時間潰しに「じゃあ温泉でも」という感じで毎週通うことになったのがきっかけだ。

 どこも気に入っているのだけれど、最近、赤倉山荘の使い方に新発見があった。午前10時から午後3時まで客室を借りるのである。1人千数百円で温泉に入って畳の部屋でごろ寝ができ、別料金だが食事も食べられる。ちょっとした温泉旅行気分を味わえるわけなのだ。そして食事のだまこ鍋は出汁(だし)が濃密、だまこはふわふわで絶品なのだった。

 はっきり言えば浴槽は小さいし、豪華な設備やサービスはないけれど、私にとってはゆっくり、ぼんやりできる空間と時間を格安で提供してもらえるありがたーい場所で、行くたびに平和な気持ちになるのだ。

(朝日新聞秋田版 2024年9月27日掲載)

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なすすべなく 諦めた映画鑑賞

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 とても気になっていた映画が御成座でかかることを知り、平日にもかかわらず、カミさんに無理を言って仕事を半休し、早朝、大館に向かった(そんなことは滅多にないのである)。

 ところが。いつも使う道が通行止めになっている可能性があったため、高速道路を走ると、能代市に入った辺りで前の車がハザードランプを点滅させ、停車した。対向車は普通に走っている。工事でもやっているのか、それなら仕方がないと思い、待った。

 数分後、救急車がサイレンを鳴らしながら走って来た。続いて左側をパトカーが走り抜けた。事故か。車列は全く動く気配を見せない。ギアをパーキングに入れる。携帯の電波も入らず、カーナビのテレビの電波も入らない。セミと鳥の鳴き声と、遠くから聞こえるサイレンの音。もう映画は始まっている。なすすべなし。

 車を動かせたのは上映開始から15分過ぎ。その時点で鑑賞は諦めて産直でスイカと野菜を買って帰った。カミさんも喜ぶ美味であった。

(朝日新聞秋田版 2024年8月30日掲載)

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「キトキト」の地魚も 往復1千キロ超の旅満喫

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 今月の連休中、カミさんが7年ぶりに里帰りするのに付き合って、富山まで車で行ってきた。

 元日の地震で少なからず被害を受けた地域に住む親類もいたが、みんな元気な様子で、カミさんの親兄弟とその家族、それにウチの子どもたちも山梨と埼玉からやって来て、総勢18人が集まって、ワイワイと楽しい一夜を過ごすことができた。

 道中、山形では岩ガキや冷やしラーメン、メニューがコーヒーしかない喫茶店、大盛りで有名な食堂とか、新潟では美味(うま)い酒と肴(さかな)や日帰り温泉などに立ち寄り、富山では路面電車に乗ってアーケード街を散策したり、キトキト(富山弁で「新鮮」)の地魚を味わったり。往復1千キロ超の長旅を満喫した。疲れたけど。

 帰りの日、私たちが車で富山県内をうろうろしている間に、子どもたちはそれぞれ山梨と埼玉の家に帰り着いていた。恐るべし、新幹線。

 27日の「サタナビっ!」は正午からの放送で、土曜の朝じゃあなくて昼の番組になります。そこのところご留意されたし。

(朝日新聞秋田版 2024年7月26日掲載)

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