球場アナウンス、思い切りやってほしい

高田 美樹

 私もやりたい!なんて、最近思ったことはありますか? 私がそんなことを思ったのは、高校野球アナウンス講習会に講師として参加させてもらった時でした。野球部のマネジャーの皆さんに球場アナウンスで意識することをお話ししたのですが、いつもうらやましく思う気持ちを持ちながらの講習会でした。

 私の人生でマネジャーになろうか悩んだのは、高校と大学入学の時の2回。ただ、私には小学生の頃に立てたアナウンサーになるまでの人生設計がありました。高校の放送部で基礎を学び、大学生になったらアナウンススクールに通って実践的なことを学ぼうと。

 今考えると、どちらも挑戦できたかもしれませんが、当時は自分の将来のためだけに時間を使って、最終的に仕事で野球に携わろうという意気込みでいっぱい。マネジャーになることは選びませんでした。だから、今も球場アナウンスは憧れのままです。

 講習会では難しいこともたくさんお話ししましたが、マネジャーのみなさんには、間違いなんて恐れずに楽しみながら思い切りやってほしい!選手に負けず、ものすごく格好良い存在ですから。

(朝日新聞秋田版 2024年02月23日掲載)

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世界の料理、スパイスで彩り

高田 美樹

 12月2日放送の「サタナビっ!」で初めて「一合一笑」のロケに行ってきました。このコーナーは一軒の店でじっくり腰を据え、美味(うま)い肴(さかな)でお酒を一合飲んで一回笑おうというもの。今回は秋田市大町にある「旬とスパイスのお店 星みや」を訪ねました。店に入った瞬間ふわーっとスパイスの香り。それもそのはず、店内には200種類以上のスパイスがあるんです。

 提供しているメニューは店長の星宮さんが世界各国を巡って出会った料理を秋田の食材で再現したものです。メニューを見ただけではどんな料理かわからないものも多かったのですが、星宮さんが一つひとつ楽しく解説してくれて、「こんな食文化があるのか!」とたくさんの発見がありました。

 料理を実際に食べてみるとまさに癖になる味。スパイスの奥深さを感じました。個性豊かで食材の味に厚みと彩りを加えてくれているんです。辛い、しょっぱい、甘い……。一つのフレーズでは言い表せないおいしさに、いつの間にかお箸もお酒も止まらなくなっていました。

 スパイスのおいしさと世界中の料理に出会った初めての「一合一笑」。次は何に出会えるのか楽しみです!

(朝日新聞秋田版 2023年12月15日掲載)

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夏の経験が成長に 実感する秋の高校野球

高田 美樹

 経験あるのみ。毎年、そんなことを感じるのが高校野球秋の県大会です。特に秋は、夏の大会を経験した選手がいるチームの強さが目立つように感じます。

 夏の大会で味わった悔しさと大舞台で戦い抜いた自信。そんなものが体中からあふれ出ているのではないかと思えるくらい選手たちは成長を遂げています。

 先輩たちに引っ張ってもらいながらプレーしていた選手がピンチの場面でもストライクゾーンで勝負できるようになっていたり、投手のテンポが悪くなったタイミングですかさず声を掛けに行ったり。新チームでたくさん練習や試合をし、色々なことがあったと思います。わずか2カ月ですが、毎年、成長するには十分な期間なのかと驚かされます。

 夏はメンバー外だった選手もこれから経験を積み重ねていくはず。来年夏には「こんな選手がいたのか」といううれしい出会いがたくさんあるのでしょうね。

 私はこの秋の試合で選手たちから刺激を受け、様々な方にアドバイスをもらいながら実況の練習に励んでいます。一つでも多くの経験を積んで、選手たちの成長と頑張りを伝えられるようになりたいと思います。

(朝日新聞秋田版 2023年9月29日掲載)

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感謝の気持ちを新たにした引退試合

高田 美樹

 7日に夏の高校野球秋田大会が開幕し、球児たちの熱戦が続いています。開幕の5日前、私は球児たちの頑張りの原点とも言える光景に出会いました。

 2日、八郎潟町の弁天球場で行われたのは秋田工業と横手清陵の3年生の引退試合です。3年生の中には夏の大会でメンバー入りできなかった部員もいます。3年生を中心にしたメンバーで高校野球の区切りとしてプレーし、その雄姿を家族にも見てもらおうと行われているそうです。

 試合は、監督から度々げきが飛ぶガチンコ勝負。秋田工業が機動力を生かして勝利し、試合後にはセレモニーが行われました。

 そこで聞いたのは、たくさんのありがとうの言葉。応援してくれたこと。丈夫な体に産んでくれたこと。洗濯をしてくれたこと。家族やマネジャー、高校野球生活を支えてくれた人たちにそれぞれの言葉で感謝を伝えていました。

 今大会もこの感謝の気持ちがあるからこそ生まれる一球や一振りがたくさん見られます。選手の思いを込めたプレーを放送でしっかりと伝えられるよう、私も精いっぱい頑張ります!

(朝日新聞秋田版 2023年7月14日掲載)

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約2年ぶりの1軍登板 新天地でつかんだチャンス、飛躍を期待

高田 美樹

 プロ野球が開幕して1カ月余り。今年も試合速報を見るのが日課になっていますが、速報を見ていてもたってもいられなくなったのが秋田商業高校出身の成田翔投手の初登板です。

 成田投手は去年までの7年間で1軍登板は15試合。去年は1軍登板がありませんでした。オフには出場機会に恵まれない選手の移籍を活性化させようとプロ野球で初めて行われた現役ドラフトで千葉ロッテマリーンズから東京ヤクルトスワローズへ。新天地で何とかチャンスをつかみたいと幕を開けたシーズンでした。

 約2年ぶりの1軍登板という吉報が届いたのは4月25日。1軍登録され、すぐに初登板。1回1/3を無失点に抑えました。まだ見慣れないヤクルトのユニホームを着た成田投手が三振を奪った場面には胸が熱くなりました。

 出場機会に恵まれなかった間もフォームを変えるなど試行錯誤をしてきた成田投手。ヤクルトには同じく秋田出身の石川雅規投手や石山泰稚投手という心強い先輩たちもいます。

 30日に登録抹消となりましたが、またはい上がって来てくれるはず。新天地でのさらなる活躍に期待しています!

(朝日新聞秋田版 2023年05月04日掲載)

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バドミントンの羽根を棒で 重ねた打撃練習、母親に感謝

高田 美樹

 何事も毎日コツコツ続けることって大切ですよね。改めてその大切さを感じたのが、昨年末に行った、明桜高校出身で千葉ロッテマリーンズ、山口航輝選手のインタビューでした。

 取材が一息ついたタイミングで、野球少年の息子がいるカメラマンがどうしたら豪快に打球を飛ばせるようになるのか尋ねました。

 ですが、答えは「特に何もしていないですね」。

 プロ野球で2桁ホームランを放った選手だから何かあるはず。食い下がる私たちに山口選手は子どもの頃遊び感覚でやっていたことを教えてくれました。

 それは、バドミントンの羽根を細い木の棒で打つ練習です。毎日母親に外でバドミントンの羽根を投げてもらっていたそうです。

 「どこ投げてんねん」とけんかするのも常だったそうですが、今ではコントロールが難しい羽根を投げ続けてくれたことに感謝していると、笑いながら話してくれました。当時の積み重ねがあってこそ、今の姿があるんでしょうね。

 そんな山口選手は、いつか秋田でトークショーを開き、色々な人と交流したいそう。秋田の野球少年にたくさんのヒントを届けてくれる日が楽しみです。

(朝日新聞秋田版 2022年02月03日掲載)

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ネコの幸せって? 久々の実家での再会で、二度見してきた愛猫に思う

高田 美樹

 ネコの幸せって何だろう。NPO法人いぬ・ねこネットワーク秋田のボランティアを取材して以来、そんな疑問が、頭に浮かんでいます。

 実家に3匹のネコがいます。よくけんかするお兄ちゃん2匹とやんちゃな末っ子です。

 コロナ下で約2年会えず、昨年ようやく帰省した時のこと。お昼寝から目覚めたネコに平然と通り過ぎられました。そして「あれいるの?」とでもいうように振り返って二度見されました。ネコが私を忘れることはなく、いるのが自然なようにふるまっていて、うれしくなりました。

 預かりボランティアは、保健所などに保護されたネコを、新しい家族が見つかるまでの間育てるのが仕事です。短い時は1、2週間でお別れです。

 それでも別れを寂しいとは思わないようにしているそうです。愛してくれる家族といるのがネコの幸せだと考えているからです。

 実家のネコは幸せだと感じているのでしょうか。疑問は尽きませんが、時々叱ったり、急にひざから下ろしてネコに怒られたりしながらも、「一緒にいたい」と思いあえる関係でありたいと感じました。

(朝日新聞秋田版 2022年12月3日掲載)

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夢に近づく初の2桁本塁打

高田 美樹

 「応援を力に、初の2桁」。今月7日、レフトのポール際ギリギリに飛び込む3ランホームランで、明桜高校出身・千葉ロッテマリーンズの山口航輝選手がプロ4年目で初の2桁ホームランを達成しました。

 出場機会に恵まれない時も「最低2桁は打ちたい」と臨んできた今シーズン。ホームラン王になるという入団当時からの夢にまた一歩近づきました。

 そんな山口選手のホームランを見るたびに思い出すのが2019年5月に横手で行われたイースタン・リーグの初打席です。

 4千人を超える観客の前で豪快な一発を披露。2軍戦ではありますが、高校時代を過ごした秋田でプロ初ホームランを放ちました。いつか山口選手が夢をかなえた時に「あの一発から始まった」と感慨深く思う人が秋田に多くいると考えるとワクワクします。

 2桁を達成後も山口選手は1本1本積み重ねていっています。22日の試合では両親が見守る中で3本のアーチ。応援している人がいればいるほど魅了してくれる選手だと感じます。

 満員の秋田の球場で豪快に打球を飛ばす――。そんな姿をまた見られるよう、応援し続けたいです。

(朝日新聞秋田版 2022年09月30日掲載)

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みんな輝く すなわち「最高」

高田 美樹

21日に夏の高校野球秋田大会が閉幕しました。感染症対策として、大会途中からスタンドで声を出しての応援は出来なくなったものの、1回戦から観客を入れての開催。これぞ夏の大会という雰囲気の中で躍動する選手たちの姿を見ることができました。

熱戦の期間中、「トレタテ!」に、高校野球芸人としておなじみのいけだてつやさんが出演して下さいました。お話が面白いのはもちろん、すごいと思ったのはいけださんの視点です。

打席で丁寧に礼をする選手や全力で腕を回すコーチャー。思い切りよく太鼓をたたく部員に応援団のリズムに乗って応援する人など、いけださんのお話には様々な人が登場します。

グラウンドの選手だけでなく、球場にいるそれぞれが輝いてこそ最高の大会になる。今年は初めて高校野球担当ではない夏を過ごしましたが、改めてそんなことを感じさせてもらえる大会になりました。

選手たちと選手を応援してきた皆さん、そしていけださん! ありがとうございました!
優勝した能代松陽は甲子園に挑みます。秋田の思いを背負って最高の夏を過ごしてきてください!

(朝日新聞秋田版 2022年07月29日掲載)

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春の訪れ「待っていた」

高田 美樹

「待っていた」という言葉を、これほど聞いた春はあったでしょうか。

今年の春は、新型コロナの県独自の感染警戒レベルが見直されて活動の制約が大幅に緩和され、各地で桜まつりなどのイベントが開かれました。

ステージイベントなどは中止、訪れる人みんながマスクを着用しているという、以前とは大きく異なる光景でしたが、それでも訪れた人たちの表情は晴れ晴れとしていて、待ち望んでいた開催への喜びにあふれていました。

ひとりで歩いて桜を眺めるのも素敵ですが、その瞬間を誰かと共有できることはもっと素敵ですよね。

そして桜が満開の期間は青空が広がった日も多く、天気までが桜まつりが開かれるのを待っていたようでした。

この夏は、秋田市の竿燈まつりや鹿角市の花輪ばやしなどが3年ぶりに開催される見通しで、待っていた夏の風景が少しずつ戻ってきそうです。

当たり前だった夏の風景がなくなった2年間の分も「待っていて良かった」と思えるような瞬間が、一人でも多くの人に訪れますように。そんな思いで桜を眺めました。

(朝日新聞秋田版 2022年05月20日掲載)

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高田 美樹

TAKADA MIKI

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