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ハンコ屋に来たお客様から「良いお年を」と言われてドキッとした。もうそんな時期? たしかに12月も2週目に入っていたころで、年内最後のあいさつだとしても納得なわけだけど、まったく自覚がなかっただけに不意を突かれてしまったのだ。
考えてみると毎年そんな感じだ。12月に入ると「うわ、今年ももう終わりかよ、はえー」なんて意味もなくあせった感じが湧き上がったりするんだけれど、三歩あるけば忘れてしまう。
今年はハンコ屋も「サタナビっ!」も偶然同じ28日が仕事納めなのできりが良い。だから自分としては例年にないくらい年末感を感じられるかもしれない、なんて思っている。とはいえ何か変わるわけでもないだろうとも思う。いずれにせよ、ぼんやりしているのである。そうやって年末を迎え、「ああ、あれもしてない、これもできてない、忘れてた」と、おたおたするのが常である。
それでも、新しい年はやってくる。「サタナビっ!」は1月11日が新年最初の放送。みなさん良いお年を!
(朝日新聞秋田版 2024年12月27日掲載)
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「サタナビっ!」にも出演するお笑いコンビ「ちぇす」の長谷川瞬さん(先日入籍したようで、めでたい)は映画好きで知られている。しかも、ただ観(み)るのが趣味の私と違って、ネット上で映画の面白さや映画館のスクリーンで観る楽しみなどを定期的に発信しているのだ。
先日、その動画配信の収録に呼ばれた。秋田市内のおしゃれなカフェである。おいしいカフェラテをいただきながら、映画館で最近観た映画や映画にまつわる雑談を、4人の出演者でワイワイおしゃべりしてきた。
ホストである長谷川さんがただの雑談にならないように話の構成を考えつつ、勝手に個人の感想をぶちまけるゲストの私をうまくコントロールしてくれたが、結果的には予定した時間をはるかに超えてしまい、場所を提供してくれた店にも迷惑をかけてしまったのではないかと反省している。
すべて私がしゃべり過ぎたせいである。ネットに公開するときはうまく編集してくれるはずだけど、今のうちに謝っておきます。
(朝日新聞秋田版 2024年11月29日掲載)
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先日、仕事で久しぶりに料理を披露することになった。私が家庭で作っている春巻きを「サタナビっ!」のなかで紹介し、後日、同じものを湯沢市のセミナーの参加者全員で一緒に作るという段取りだったが、苦労したのが「レシピ」づくりである。
料理を作ること自体には何の問題もないのだが、問題は調理する作業を数値化、文章化することなのだった。普段のいい加減な分量と感覚だけの作業、それを数字にするために同じものを4回作る羽目になった。
そして手順を他人に伝えるための「文章化」が、またやっかいな仕事だった。そもそも、レシピが同じでも100人が作ったら100通りの料理が出来上がるはず。家庭によって道具も素材もそれぞれなのだから、違って当たり前でしょ。だから、レシピはただの参考程度に考えて、自由に作っていいんじゃないかと考えている。
湯沢の会場でも参加者それぞれのユニークな料理が完成し、楽しく食事をすることができた……と思っているんだけど。
(朝日新聞秋田版 2024年10月25日掲載)
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私の知る限り、五城目町には小倉温泉、湯の越温泉、赤倉山荘と三つの泉質の違う温泉がある。それぞれ日帰りで利用できるので、この6、7年通い続けている。
もともと、子どものアーチェリーの練習場所が五城目町にあったので、その送迎ついでというか時間潰しに「じゃあ温泉でも」という感じで毎週通うことになったのがきっかけだ。
どこも気に入っているのだけれど、最近、赤倉山荘の使い方に新発見があった。午前10時から午後3時まで客室を借りるのである。1人千数百円で温泉に入って畳の部屋でごろ寝ができ、別料金だが食事も食べられる。ちょっとした温泉旅行気分を味わえるわけなのだ。そして食事のだまこ鍋は出汁(だし)が濃密、だまこはふわふわで絶品なのだった。
はっきり言えば浴槽は小さいし、豪華な設備やサービスはないけれど、私にとってはゆっくり、ぼんやりできる空間と時間を格安で提供してもらえるありがたーい場所で、行くたびに平和な気持ちになるのだ。
(朝日新聞秋田版 2024年9月27日掲載)
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とても気になっていた映画が御成座でかかることを知り、平日にもかかわらず、カミさんに無理を言って仕事を半休し、早朝、大館に向かった(そんなことは滅多にないのである)。
ところが。いつも使う道が通行止めになっている可能性があったため、高速道路を走ると、能代市に入った辺りで前の車がハザードランプを点滅させ、停車した。対向車は普通に走っている。工事でもやっているのか、それなら仕方がないと思い、待った。
数分後、救急車がサイレンを鳴らしながら走って来た。続いて左側をパトカーが走り抜けた。事故か。車列は全く動く気配を見せない。ギアをパーキングに入れる。携帯の電波も入らず、カーナビのテレビの電波も入らない。セミと鳥の鳴き声と、遠くから聞こえるサイレンの音。もう映画は始まっている。なすすべなし。
車を動かせたのは上映開始から15分過ぎ。その時点で鑑賞は諦めて産直でスイカと野菜を買って帰った。カミさんも喜ぶ美味であった。
(朝日新聞秋田版 2024年8月30日掲載)
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今月の連休中、カミさんが7年ぶりに里帰りするのに付き合って、富山まで車で行ってきた。
元日の地震で少なからず被害を受けた地域に住む親類もいたが、みんな元気な様子で、カミさんの親兄弟とその家族、それにウチの子どもたちも山梨と埼玉からやって来て、総勢18人が集まって、ワイワイと楽しい一夜を過ごすことができた。
道中、山形では岩ガキや冷やしラーメン、メニューがコーヒーしかない喫茶店、大盛りで有名な食堂とか、新潟では美味(うま)い酒と肴(さかな)や日帰り温泉などに立ち寄り、富山では路面電車に乗ってアーケード街を散策したり、キトキト(富山弁で「新鮮」)の地魚を味わったり。往復1千キロ超の長旅を満喫した。疲れたけど。
帰りの日、私たちが車で富山県内をうろうろしている間に、子どもたちはそれぞれ山梨と埼玉の家に帰り着いていた。恐るべし、新幹線。
27日の「サタナビっ!」は正午からの放送で、土曜の朝じゃあなくて昼の番組になります。そこのところご留意されたし。
(朝日新聞秋田版 2024年7月26日掲載)
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番組の取材で以前お世話になったことのある大仙市の高梨商店。敷地内で定期的に朝市が開かれていて、カミさんが前から「行きたい」と熱望していたのだった。
我が家から車で1時間弱。腹ペコで到着した2人は、ビーフシチュー、カレー、チャイ、コロッケを平らげ、チーズケーキ、和菓子、コーヒーを追加した。
その朝市には世界各地の料理や菓子、雑貨、Tシャツプリント体験、ドリンク等々多種多様な出店があった。
特徴的だったのは子どものための遊び場が用意されていること。おかげで就学前の子連れのお客さんがいっぱい来ていて、その空間にいるだけで心が和んだ。何しろウチの周りには子どもがいる家が1世帯しかなく、気ままに遊ぶたくさんの子どもたちを目にしたのは本当に久しぶり。カミさんも言っていたが子どもが楽しそうにしているとこんなにも気分が良くなるものかと、ちょっと驚いたくらいだった。
素敵な場をつくり上げている人たちに感謝。
(朝日新聞秋田版 2024年6月29日掲載)
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みなさんは「アカネ」という植物を見たことがあるだろうか。私は先日、番組の取材で訪れた鹿角高校で鹿角茜(あかね)染伝承隊の生徒たちと、高校の敷地内に自生しているアカネを「収穫」し、その姿を初めて目にした。
十文字に生えている先のとがった葉が妙に可愛い。きれいに放射状に伸びた葉が他の草花とは明らかに違う。可愛い。
その根を使った草木染が茜染で、鹿角では奈良時代から伝わり、一度は途絶えたものの現在復活し、地域の高校生たちも伝承活動に一役買っているということらしい。恐ろしく手間がかかる技法だが、その色は年を重ねるごとに鮮やかになり、千年経っても色あせないという。黄色や橙(だいだい)、紫色などが入りまじる伝統的な日本の「赤」だ。
地域の伝統文化の伝承に若者たちが積極的に関わっている姿には驚くとともに強く感動したが、カエルを見て絶叫するのは勘弁してほしい。おじさんはビックリして腰を抜かすところだった。詳細は25日の番組で!
(朝日新聞秋田版 2024年5月24日掲載)
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放送が始まって21年目に突入している「サタナビっ!」ですが、今月から新しい顔ぶれと新しいスタイルで番組をお届けします。いや正確には新型コロナ拡大前の形に戻っただけなんですが。
一言でいえば、人と人の距離が近くなったのだ。4年前、このコラムで「ニンゲンがニンゲーーーンになってしまった」と書いたのだけれど、ようやく「ニンゲン」の姿に戻りつつあるわけだ。
新たな相棒の中島千歩アナウンサーは去年秋田に来たばかり。でも何度か盃(さかずき)を交わしているので気心は知れている。そもそも番組のスタート時は私を含めて新人だらけだった。
今では地元の情報番組として定着した感もあるし、周りからは人気番組として見られている節もある。安定も大事なのかもしれないが、常に新鮮な視点を持ち続けて、挑戦的な姿勢を保っておかないといけない。
そのためにも新しい人が加わるというのはもってこいなのだ。心機一転、今までと一味違う番組をお届け……できるかな?
(朝日新聞秋田版 2024年4月5日掲載)
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2月14日午後6時半から、つまり水曜の夜に「サタナビっ!」の生放送があったのですが、ご覧いただけたでしょうか? 土曜の朝の番組が水曜の夜に堂々と。しかも、秋田出身のシンガー・ソングライター高橋優書き下ろしの番組テーマソング「オープンワールド」を引っさげて。
深みのある痛烈な歌詞と自由自在なメロディーラインで、聴けば聴くほどしみてくる。秋田に住むすべての人に贈る激励の歌だ。高橋優、地元思いの素晴らしいアーティストである。今さら何を言うかって感じですかね? とにかく、みなさんにぜひ聴いていただきたい! ちなみに今のところ、番組内でしか流れませんので。
この20年、土曜の早朝に準備を始めていたのが、水曜の夕方からだったせいか、調子が変な生放送だったと、自分では思う。しかし、ありがたいことに、多くの方々に視聴していただいたようである。また多くの恥をさらしてしまったわけだ。
まあ、それはしょうがないこととして、これを契機に番組が新しい扉を開けることができるか楽しみである。そう「オープンワールド」の歌詞のように。素晴らしいかもしれない今日を始めよう――。
(朝日新聞秋田版 2024年3月1日掲載)
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