心が、まぁるく、温かくなったら

藤盛 由果

 私が制作した番組「てまりが紡ぐまぁるい縁」が、23日午後2時30分から放送されます。約1年間、てまりと、てまりに魅せられた人たちを追ってきました。

 私もすっかり、万華鏡のような美しい世界の虜(とりこ)。取材の最中、てまり作家の方に「あなたは、てまりつくるの?」と聞かれました。こんな細かい作業は……と返す私に、その方はこうおっしゃったんです。「つくってみなさい。きっと、番組づくりも変わるから」

 一瞬の衝撃、そこからの納得でした。百聞は一見にしかず。さらに百聞は一行にしかずです。番組の台本を考えながら、地道にチクチクつくってみたのが写真のてまり。うまく言葉が紡げない時、手と針を動かすことで思いついたフレーズもあります。

 てまりの基本は土台となる丸づくり。その形から縁(円)を結ぶ縁起物とされています。贈る相手の幸せを願ってつくられる。番組も、そんな温かさをギュッと込めてつくりました。見てくださった方の心が、まぁるく、温かくなったらうれしいです。

(朝日新聞秋田版 2024年11月22日掲載)

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夏風邪で気付いた声の振動

藤盛 由果

 1カ月ほど前のことになりますが、夏風邪をひきました。寒暖差にめっぽう弱い私。息苦しく感じるほどの外の暑さと、室内の寒さが原因だと思っています。体調管理も大切な仕事。なにか対策を考えなければ……。

 この夏風邪ではいろんな体験をしました。初めての体温40度超え。声が出せない状態も初めてでした。

 でも、転んでもタダで起きるなと教わってきた私。夏風邪からの学びもありました。普段は何の意識もせず出せている声。まったく声が出ない所からかすれ声になったあたりで、声帯が振動する感覚が伝わってきたんです。これが声が出るってことなのか!と、大発見した気分。使う筋肉を意識すると、筋トレがより効果的になると言いますよね。私もこれからは、声帯を意識して発声したいと思います。

 さて、「トレタテ!」は先週、高橋正和アナが夏休み、今週は私が夏休みをいただきました。この2週間、若手アナが頑張ってくれました。来週からはまたいつものコンビでお送りします!

(朝日新聞秋田版 2024年9月13日掲載)

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地元産のイチゴでブーム到来

藤盛 由果

 幼いころ、「好きな食べ物は?」との問いに「イチゴ」と答えた友人がいました。その隣で「岩ガキ」と答えた私は、「世の中には可愛い答えがあるんだなぁ」と、初めて感じました。

 あれから30年ほど経った今年の春、私の中でイチゴブームが到来しました。きっかけは大館で行ったイチゴ狩り。大館にイチゴ農園があるということにまず驚いたのですが、それ以上に衝撃を受けたのがそのおいしさ。ヘタに近い部分を食べても甘い。とがった先の方はもちろんもっと甘い! ハウス中が甘い香りに包まれ、ずっと深呼吸していたい気分でした。

 イチゴがうまく摘めると、パチンッ!とはじけるような音が響くんです。その音を出すのが楽しくて、どんどん摘んでは口の中へ。制限時間の30分が経った時には、おなかがタポタポいうほどでした。食べ過ぎですね。今年のイチゴ狩りはもうすぐ終わり。早くも来年が楽しみです。

 ちなみに、私の好きな食べ物1位は岩ガキで変わりありません。

(朝日新聞秋田版 2024年6月21日掲載)

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そもそも私……中継経験少ないんです

藤盛 由果

 去年、3人の後輩アナウンサーが加わってから、中継をする時の心構えやコツを聞かれる機会が増えました。これまでそんな質問されたことなかった!なんて内心ドキドキしながら、それっぽい答えを返してきた私には、緊張の理由がもう一つありました。

 そもそも私……中継の経験が少ないんです。番組MCとしてスタジオにいることがほとんどだった、この10年間。中継って楽しそう、おいしいものが食べられていいななどと無責任に発言していたツケが回ってきました。このままでいいのか悩んでいると、上司から「中継出る?」とありがたいお言葉。そして実現したのが先月、「トレタテ!」で放送した桜の中継でした。数ある名所から場所を選び、伝えたい事柄をまとめ、カメラマンに意見をもらい……。一筋縄ではいかないこともありましたが、その分やりがいがありました。

 「トレタテ!」は、やりたいことはどんどんやろう!という自由な番組。後輩の活躍の場に影響がない範囲で今後も中継に出たいと思います。

(朝日新聞秋田版 2024年5月2日掲載)

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「推し活」で彩り豊かな人生に

藤盛 由果

 好きなものを応援する「推し活」。この言葉が世の中に広がる以前から、約30年続けています。

 「推し」に対する情熱の注ぎ方は人によって様々ですが、前よりも日常的に、カジュアルに推し活を楽しめるようになったなぁ、と思うのです。

 きっと、その理由の一つは「推し色」の登場。いつの頃からかメンバーカラーやグループカラーなるものが現れ、日常生活にいかに採り入れるかを考えるように。色によって味が異なるお菓子も、選ぶ時は味よりも色を重視! ちなみに今の私の推し色は青と緑なので、ソーダ味や抹茶味を食べる機会が増えています。本当はイチゴ味が食べたいんですけどね。

 これだけ聞くと、私の持ち物は全て青か緑になっていそうですが、そう単純ではないのが推し活。「次の舞台は赤と黒がテーマカラー」と聞けばその色の服を買い、「推し」が2月のカレンダーでピンクの服を着ていたので、その月の私の服はピンクが多め。こんなことを繰り返すうち、私のクローゼットは目がチカチカするほどカラフルに……。

 大好きな「推し」のおかげで、私の人生はとっても彩り豊かです。

(朝日新聞秋田版 2024年2月16日掲載)

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似てるようで似てない ばあちゃんと私

藤盛 由果

 私は祖母と趣味が合う。一緒にテレビを見ていて、「ばあちゃんはこの人が好き」と指さす人は、大抵が私の好きなタイプとかぶる。

 祖母から服をもらったりもする。年齢が60近く離れていて服をもらえる関係は、なかなか珍しいのではないだろうか。もらった服を着ていて、これまで一度も「いつもと雰囲気が違う」なんて言われたことはないし、むしろ「今日の服いいね」と褒められることが多い。そんな時は心の中でひっそりと、ばあちゃんからのお下がりなんだ、と自慢している。ちなみに写真の服がそうなのだが、いかがだろうか。ラインストーン付きの、お気に入りの一着だ。

 しかし、食の好みは合わない。例えばアップルパイ。私はパイ生地が多いものを選び、祖母はリンゴがゴロゴロ入ったものを選ぶ。だからこそ一緒に食事をして、祖母からパイ部分をもらい、私はリンゴをおすそ分けする。

 似てるようで似てない、でもなぜか合うのが祖母と私。凸と凹が合った、そんな関係。これからもお下がりの服を着て、アップルパイを食べるたびに、ばあちゃんの孫だなぁと思うのだろう。

(朝日新聞秋田版 2023年12月8日掲載)

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猫さまさまの幸せな日々

藤盛 由果

  藤盛家には「困った時は猫を頼る」という決まりがある。猫好き、という単純な理由からくるものだが、思った以上の効果がある。

  旅行先など知らない土地を歩いていると、ふと猫が現れることがある。こっちに来いと言われている気がしてついて行くと、ガイドブックに載っていない新しい店や、地元住民が愛する店にたどり着いたりする。

 しかし、猫が現れたからといって必ずついて行くわけではない。時には、こっちは違うと言われている気がすることもある。それでも猫好きの性(さが)で猫のいる方に向かうと、道に迷う。あの猫は、こっちに来るなって言ってたんだなぁと思いながら来た道を戻ると、さっきと同じ場所にまだその猫がいた。だから言ったじゃん、とでも言いたげなけげんそうな顔をしている(気がした)。

 これは一例で、日々猫に助けられながら生活している。まさに猫さまさま。とはいえ、私もわかっている。そんな気がしているだけなのだと。それでも猫のおかげで楽しく過ごせていると思えば、幸せ度が高まるのだ。

 9月20~26日は動物愛護週間。私は猫様に、みなさんも大好きな動物に、めいっぱいの愛情を。

(朝日新聞秋田版 2023年9月22日掲載)

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負けず嫌いの血が騒ぐ「詰め放題」

藤盛 由果

 やると決めたからには、絶対に負けたくない。いつから私は、自他ともに認める負けず嫌いな性格になったんでしょう。生まれつきと思われがちですが、昔は引っ込み思案で、そんなに負けん気が強いタイプではありませんでした。この話をすると、必ず「うそだ」と言われてしまうほど、幼少期とは正反対の性格になっています。何がきっかけで変わったのか、本人も覚えていません。

 そんな私の性格が遺憾なく発揮されるのが「詰め放題」。初夏あたりから、いろんな野菜の詰め放題のイベントが行われていて、見つけるとついチャレンジしてしまいます。最近行ったのは、三種町のそら豆詰め放題。「トレタテ!」の金曜中継で、中島千歩アナウンサーが詰め放題開催を伝えた瞬間、私の中でイベント参加が決まりました。

 結果は写真の通りです。私よりも後に始めた人が詰め終わっても、袋から時折苦しそうな音が聞こえても、焦らないのが私なりのコツ。隙間をなるべくつくるまいと頭をフル回転させ、我ながらうまく詰められました。……と思ったのもつかの間。一緒に参加した叔母が、私よりも多く詰めていました。悔しい! 次は絶対に負けません。

(朝日新聞秋田版 2023年7月7日掲載)

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同期の絆 大切に 新入社員に先輩からのエール

藤盛 由果

 この春AABに新入社員が仲間入りしました。同期で共に研修を受け、今は配属された各部署に分かれて仕事の基礎を学んでいます。昼休みにそろってご飯を食べ、それぞれの活動報告をしている姿は、ほほ笑ましいです。

 私には入社から丸12年、ずっと同じ部署で働く同期が1人います。彼女はずっとニュース担当、私は昨年度まで情報番組担当。近くにいながらも一緒に仕事をする機会は数えるほどでしたが、この春からは私もニュース担当。一緒に仕事ができることがちょっぴりうれしかったりします。いや、とてもうれしく、とても心強く思っています。

 そんな彼女と不定期開催している「同期会」という名の飲み会で、たまに話題にあがるのが、「私たち、学生時代に出会っていたら仲良くなってないよね」ということ。絶対に別のグループだったよね、なんて言いながら酒を飲み、同期入社で良かったねと笑い合う時間がたまらなく好きです。

 本当に「同期」とは不思議なもの。育った場所も年齢も異なる人たちと不思議な縁でつながり、同期のためなら頑張るかと思えたりします。新入社員よ、同期を大切にね。

(朝日新聞秋田版 2023年4月28日掲載)

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自然に身についた特技はヘアアレンジ 衝撃の展開は

藤盛 由果

 この時期アナウンサーにやって来るお仕事の一つに、プロフィルの書き換えがあります。一言コメントを変えてみたり、好きなものが変わっていたり、担当番組が変わったり。今年も担当部署から「変更があったらお知らせください」と連絡があり、何か書き換えることあったかなぁとプロフィルを見返してみたところです。

 書く時にいつも悩むのが、特技の欄。人に褒められるような、自信を持って特技です!と言えるようなこと、私には無い……と思っていたんですが、気づきました。私、「ヘアアレンジ」が得意です。

 バレエや社交ダンスを習い、その発表会では自分で髪形を作っていたので、自然と身についた特技。初めはお団子一つ結うのにも15分ほどかかっていましたが、いつの間にか鏡がなくてもササッと結えるようになりました。髪を結うため、髪形もほぼロングです。

 番組の感想にも時折、ヘアアレンジを褒めてくださるコメントがあり、朝頑張って良かったと一人ニヤニヤしている……なんて言いながら、衝撃の写真。全貌(ぜんぼう)は、明日のサタナビっ!をご覧ください。

(朝日新聞秋田版 2023年03月24日掲載)

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藤盛 由果

FUJIMORI YUUKA

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