愛のむち、嫌いじゃない

藤盛 由果

 ありがたいことに、私の基礎を築いてくださった先生方は愛のむちタイプが多い。今でこそ「ありがたい」と言っているが、当時は嫌いになりかけたことが何度もある。

 国語の先生には「紙の辞書を、複数の出版社のもので引くように」と言われた。「面倒と感じたら、その言葉の意味を二度と忘れないでしょ」と話す先生のほほ笑みが忘れられない。数学の先生に解き方を聞くと、「今教えたら明日にはその解き方を忘れると思うよ。今聞く?」と言われた。一晩悩み、試行錯誤の跡だけが残る解答用紙を持っていくと、「頑張ったな」と褒められた。バレエのレッスンで新たな技に初めて成功し、出来た!と叫んだら、「百発百中で出来るようになって、初めて出来たと言うの」と冷静に言われた。その先生に「うまく出来るようになったじゃない」と言われるまで必死に反復した。

 共通するのは、時間をかけて得たものは忘れないということ。効率は悪いかもしれない。でも私は、この学び方が嫌いじゃない。

(朝日新聞秋田版 2026年7月17日掲載)

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