似てるようで似てない ばあちゃんと私

藤盛 由果

 私は祖母と趣味が合う。一緒にテレビを見ていて、「ばあちゃんはこの人が好き」と指さす人は、大抵が私の好きなタイプとかぶる。

 祖母から服をもらったりもする。年齢が60近く離れていて服をもらえる関係は、なかなか珍しいのではないだろうか。もらった服を着ていて、これまで一度も「いつもと雰囲気が違う」なんて言われたことはないし、むしろ「今日の服いいね」と褒められることが多い。そんな時は心の中でひっそりと、ばあちゃんからのお下がりなんだ、と自慢している。ちなみに写真の服がそうなのだが、いかがだろうか。ラインストーン付きの、お気に入りの一着だ。

 しかし、食の好みは合わない。例えばアップルパイ。私はパイ生地が多いものを選び、祖母はリンゴがゴロゴロ入ったものを選ぶ。だからこそ一緒に食事をして、祖母からパイ部分をもらい、私はリンゴをおすそ分けする。

 似てるようで似てない、でもなぜか合うのが祖母と私。凸と凹が合った、そんな関係。これからもお下がりの服を着て、アップルパイを食べるたびに、ばあちゃんの孫だなぁと思うのだろう。

(朝日新聞秋田版 2023年12月8日掲載)

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