長野で頭もおなかもいっぱいに

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 久しぶりに、1人で旅行してきた。東京にいたころからの友人の舞台公演が、別の友人たちがいる長野県松本市で行われるというので、どうしても行きたくなったからだ。

 十数年ぶりの再会は、「変わらないねー」などと言い合いながらの盛会であった。まわりの人から「あんたたち仲良くなったきっかけは何?」と聞かれたが、誰もよく覚えていないのであった。

 俳優になった友人は、海外の演出家とともにヨーロッパツアーを終えてからの国内ツアーの途中で、コイツはすごい高いところまで行っちゃったなあとしみじみ思った次第。

 舞台は旧約聖書をもとにした一人芝居で、客入れからカーテンコールまで圧倒されっぱなし。まばたきも出来ないくらいで、久しぶりに本物の演劇を観(み)せられた感じがして脳みそが揺れた。

 長野はさすが蕎麦(そば)の町で、駅のホームにある立ち食い蕎麦やセルフサービスの格安の蕎麦屋まで全部うまい。しっかり食べ過ぎて、頭もおなかもいっぱいになって帰宅した。

(朝日新聞秋田版 2025年10月31日掲載)

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