
神下 芽衣
取材で白神山地を訪れました。
秋田白神ガイド協会・斎藤栄作美会長の案内で巡ったのですが、そこで教えてもらったのは、白神の森で育ったブナが戦時中、資源不足の中で戦闘機のプロペラなどの材料に使われていたということです。
戦中戦後には全国的に木材需要が高まり、白神では広葉樹が伐採されたあとに成長の早いスギが植えられました。斎藤さんによると、「成長途中のスギは先端がとがっていて、成長が止まると先端が丸くなる」といいます。そこで山を見渡すと、戦後に植えられた「先のとがったスギ」が多く見られることに気づきます。
斎藤さんは「ブナが減ったことでクマの餌となる木の実が減り、クマが街中に出てくるようになった」「保水力のあるブナが減ると、大雨災害の一因にもなる」とも話します。
戦争が原生の森の姿を変え、今もなお時代を超えて、身近なところにさまざまな形で爪痕を残しているのではないかと感じました。
(朝日新聞秋田版 2026年8月14日掲載)
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