ZEN
今のようなシネコンがなかった若いころ、毎週のように映画館に通っていた時期があった。今でも映画館には足を運ぶけれど、その機会はめっきり減った。それでも、すべての人に見てほしいと思うような、とんでもなく素晴らしい映画に出会うことは少なくない。
カンヌ映画祭で役所広司が男優賞を受賞した「パーフェクト・デイズ」もそんな作品だ。監督はドイツ人だが、東京が舞台で日本語の映画。「余白」が多く、人によって様々な違った印象を持つ作品だと思うけれど、それでもオススメしたいと心から思うのである。
劇中で流れる1960~70年代の楽曲もかなり重要で、歌詞(英語だけども)が絶妙に場面に呼応し、驚くべき効果を見せていて、心が震え、涙腺がゆるんでしまう。しかも、私の好きな曲も多くて、「こりゃサントラ盤を買わねば!」と思ったら、発売されていないようなのだ。仕方がないので手元にない曲は買うなどして全11曲、自分で集めた。映画は2回見たが、音楽はほぼ毎日聴いている。
監督の話によると、許諾を得られず使用できなかった曲もあったらしい。それが何だったのか気になってしょうがない。
(朝日新聞秋田版 2024年1月26日掲載)
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