高田 美樹
「待っていた」という言葉を、これほど聞いた春はあったでしょうか。
今年の春は、新型コロナの県独自の感染警戒レベルが見直されて活動の制約が大幅に緩和され、各地で桜まつりなどのイベントが開かれました。
ステージイベントなどは中止、訪れる人みんながマスクを着用しているという、以前とは大きく異なる光景でしたが、それでも訪れた人たちの表情は晴れ晴れとしていて、待ち望んでいた開催への喜びにあふれていました。
ひとりで歩いて桜を眺めるのも素敵ですが、その瞬間を誰かと共有できることはもっと素敵ですよね。
そして桜が満開の期間は青空が広がった日も多く、天気までが桜まつりが開かれるのを待っていたようでした。
この夏は、秋田市の竿燈まつりや鹿角市の花輪ばやしなどが3年ぶりに開催される見通しで、待っていた夏の風景が少しずつ戻ってきそうです。
当たり前だった夏の風景がなくなった2年間の分も「待っていて良かった」と思えるような瞬間が、一人でも多くの人に訪れますように。そんな思いで桜を眺めました。
(朝日新聞秋田版 2022年05月20日掲載)
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