アウシュビッツで学んだ戦争責任

 障害を持つ人が手がけるアートをテーマにした特集を取材した際、お話をうかがった方が「役に立つから人は存在するわけではない」と話していたのを聞き、2年前、アウシュビッツで虐殺された人々のたどった道を追体験するスタディーツアーに参加したことを思い出しました。

 アウシュビッツで最初に収容されたのは障害者で、その後反逆者、最終的にユダヤ人の虐殺が始まったとの説明を受けました。ただナチスの理想の実現にとって役立たないと判断した人を排除したのです。ナチスは収容した人たちの衣服だけでなく髪の毛まで利用し、ナチスの考える無駄がない理想郷をつくろうとしました。

 ツアーのなかで、「その時代に生まれたすべての人に等しく戦争を起こした責任がある」と講師が話していたのが印象に残っています。

 終戦の日。いま海外で起きていることにも責任を持っていなければならないと感じます。

(朝日新聞秋田版 2025年8月15日掲載)

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