昔は人を襲わなかったのに……

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 毎日、クマのことを考えている。そうせざるを得ない。つい、誰かとクマの話題で長話になってしまう。

 子供のころからクマの話はよく聞いていた。(今住んでいる近所の話ではないが)「出た」「見た」というのは日常茶飯事で、つまりクマと人間の距離はもともと近かったのだが、当時「人が襲われた」という話は聞いたことがなかった。

 しかし、今年は状況が一変している。人間の生活圏内で、クマが人を襲っているのだ。家の敷地内に入り込み、建物に、自動ドアからも入ってくる。

 ウチから歩いて数分のところでも目撃されている。早朝や夕方以降は、一人で外に出ることをためらってしまう(結局は出るのだが……)。

 県外の友人からも「大丈夫か」と、しょっちゅう連絡が入る。もはや一つの地域だけでなく国全体の問題になっている。石器時代に戻ってしまったかのようだ。個人的にはなすすべがないと感じている。一日も早く原因を探り、対策を立てられるようになることを願う。

(朝日新聞秋田版 2025年11月28日掲載)

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