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「腑に落ちる」行動

秋が深まり、風がずいぶん冷たくなってくるなか、世の中は人のグローバルな往来を従来通りに戻していく方向にかじを切ったようだ。人々の接触機会が増えれば様々な対策を施しても、新型コロナに感染する機会も増えることになる。だから、当然そのリスクを前提にした動きであるはずだが。

感染によって数多くの命が失われている一方、ウイルス対策によって、あるいはウイルス騒動で生じた人々のいびつな行動で損なわれたものも多くあるのではないかと思う。知人たちの話を聞く限り、これは都市部より地方の方が圧倒的に問題が大きいようだ。個人的には、感染症そのものより、それに対する人間の行動の方が問題だと感じる。多くのSF作品で書かれてきた監視社会が有形無形問わずまさに現実となっている。「未来のことを本気で危惧(きぐ)しているのはSF作家だけだ」という言葉を聞いたことがあるが、案外的外れではなかったと実感する。

それにしても、私には腑(ふ)に落ちないというか何か釈然としないもやもやした気持ちがある。このウイルスとはいや応なく付き合っていかなければならない。なので!感染に気をつけながら、なるべく今まで通り、控えめに、出かけることにしようと思う。「腑に落ちる」行動をしておきたいのだ。とりあえず。

(朝日新聞秋田版 2020年10月24日掲載)

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