あいたいAAB

ZEN

夢と現実のはざまで

ある休日の朝、私が目覚めた時、枕元のデジタル時計は10時14分だった。家人は昨夜遅かった私を起こさないでゆっくり休ませてくれたようだ。午後、盛岡で映画を観る以外に特に用事はない。

さてどこに寄ろうか?昼飯は?などと、布団に入ったまま考えていた時に「何時だと思ってんの!」。

カミさんの大声で目覚めた私は、ずいぶんと間抜けな顔をしていたらしい。けげんそうに「どうしたの?」と聞いてきた。私はまだ寝ぼけて、半信半疑で「日曜の朝の夢を見てた」とぼそり。

「はー、だといいよねー」と、あきれ顔の妻に見下ろされながら、のろのろと起き上がり時計を見て仰天した。店の開店に間に合うかどうかギリギリだ。月曜日の朝のことである。

夢とは思えないほどの現実感。脳の中で何が起きたと真剣に思い悩んでしまうほどだ。今、私は起きているのか? それともこれも夢の中なのか? いや、そもそも私は生きているのか? 死んでいることに気がつかないでいるんじゃないのか? おお、面白いことになってきたぞ……。

「胡蝶(こちょう)の夢」じゃないけれど、誰でもちょっとした違和感とか、小さな疑問みたいなものがよぎる瞬間ってないだろうか? たまにこんな余計なことを考えたりすると案外楽しい。って思うのは私がヒマだから?

(朝日新聞秋田版 2021年09月18日掲載)

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