vol.88 子宮頸がんとHPV

2011年12月18日

近年若い世代での増加が目立つ、子宮頸がん。その発生には、あるウィルスへの感染が大きく関わっている。詳しいお話を、秋田県医師会の田中秀則先生に伺った。
子宮頸がんは、ヒトパピローマウイルス(HPV)を抜きには語れない。これは主に性行為によって感染するもので、一般に性行為を経験した女性であれば8割感染するありふれたウィルスだ。ただ、ありふれたウィルスでも、残念ながら持続感染してしまったものが前がん病変に進行する。前がん病変というのはいくつか段階があって、HPVに感染した中の10%ぐらいが前がん病変で一番軽い軽度異形成になり、それがさらに進むと中度異形成ということになる。中度異形成からは正常に戻ることもある。しかしさらに進んで高度異形成となると、上皮内がんになり、初めてがんという言葉が使われる。
高度異形成までになると中の手術が必要になってくる。これは極めて限定的な一部に留まっているがんなので、手術すればいいが、上皮内がんがさらに進むと本当の子宮頸がんになる。
前がん病変の段階で発見するためにも、定期的に検診を受ける必要がある。特に20代から30代の方は、国では2年に一度といっているが、毎年受けてもいいのではないかという説もでてきているので、ぜひ20歳になったら迷わず子宮頸がん検診を受けて欲しいと思う。