vol.64 ヒトパピローマウイルス

2011年07月03日

近年若い世代での増加が目立つ、子宮頸がん。その発生には発がん性のヒトパピローマウィルスが大きく関わる。詳しいお話を、秋田県医師会の佐藤宏和先生に伺った。
ヒトパピローマウイルス(HPV)というのは、人の皮膚や粘膜に一般的にいるウィルス。その中で子宮頸がんに関係があるウィルスというのは、200種の中のおよそ15種ぐらいで、ほとんどの場合は性感染症だと言われている。ごく一般的なウィルスなので、性交経験のある女性の85%ぐらいは一生のうちで一度は感染していると言われるが、大部分の人は自分の免疫力で自然に治ってしまう。
HPVに感染したからと言って、必ずしも直ぐがんになるわけではなく、前がん病変、子宮頸部の異形成と呼ばれるものがある。異形成にも軽度・中度・高度と分かれていて、初期の異形成は自然に治癒する人も少なくない。ただ中度、高度と進むうちに自然に治癒する可能性は低くなり、さらに上皮内がんという初期のがんに進んでいく可能性が高くなる。したがって、前がん病変のうちに見つけて、治療することが重要で、そのためには子宮がん検診を受けることが極めて大事だ。