Vol. 605回「前立腺がん検診について」

2022年08月28日

男性の中で最も罹患数の多い前立腺がん。
早期に発見するためにも検診受診が大切だ。
詳しいお話を泌尿器科医の武藤弓奈先生に伺った。
検診方法はPSA検査でスクリーニングを行う。スクリーニング検査とは前立腺がんの可能性がある人を見つけるための検査のことで採血のみで行われる。
PSAは精液の中に分泌され精液の液化に関係した重要な働きをしているタンパクだ。正常の前立腺細胞でも作られるが前立腺がんになるとがん細胞は基底膜と呼ばれる細胞の膜がはがれやすくなるためがん細胞から分泌されたPSAが血液中に漏れやすくななり進行するにつれ血中PSA濃度が高くなる。そのため検診でPSA値が高かった場合には精密検査を行う。
精密検査では直腸診と呼ばれる直腸の壁越しに前立腺を触診し前立腺の肥大やしこりがないか調べる検査やMRI検査を行う。このような検査の後がんが疑われる場合には前立腺針生検を行い前立腺の組織を詳しく調べる。
PSA検査で早期に発見できれば治療の選択肢も増える。そのため積極的な検診受診が重要だ。