vol.199 胃がんとピロリ菌1

2014年04月13日

一生のうち、男性は9人にひとり、女性は18人にひとりがかかると言われる胃がん。発生には胃の中に住む菌が大きく関与すると言われている。詳しいお話を秋田県医師会の那須宏先生に伺った。
かつては、魚の焼け焦げや塩分の取りすぎで、加齢により胃が老化し、胃がんになると考えられていたが、最近は、ピロリ菌の持続感染などによる胃炎が問題だ。
ピロリ菌は人間の胃の中に住む細菌。5万8000年前、現人類が東アフリカから大移動するときには、既に胃の中に住んでいた。日本のピロリ菌は東アジア型で、胃の粘膜を傷つけ、胃潰瘍、慢性胃炎の原因となり、胃の老化現象である萎縮性胃炎を引き起こす。
ピロリ菌除菌は2000年から、胃十二指腸潰瘍で広く行われてきた。今回2013年からは、慢性胃炎にも保険が適用となった。1種類の胃酸止めと2種類の抗生物質を1週間内服する。料金は3割負担で約1万円。除菌が成功すると、50歳代では男性76%、女性92%、60歳代では男性50%、女性84%、胃がんになるリスクの低下が報告されている。
30歳以降で除菌した人は胃がんのリスクが残るため、除菌後もレントゲン、内視鏡による検診が必要だ。
日本人に多い胃がんは、ピロリ菌の除菌と検診の受診で発生リスクを下げる事が可能だ。