vol.171 前立腺がんとPSA検査

2013年09月01日

高齢化の進む日本で増加傾向にある前立腺がん。採血によるPSA検査で早期発見が可能になる。詳しいお話を秋田県医師会の市川晋一先生に伺った。
PSAというのは、前立腺特異抗原の略。前立腺の腺細胞から作られたタンパク分解酵素だが、固まった精液を溶かして精子の運動性を高める働きをしている。なのでPSAは前立腺特異抗原であって、前立腺がんの特異抗原ではない。したがってPSA値は前立腺がんでも上がるが、前立腺肥大症、前立腺炎でも数値は上がる。
前立腺がんは50歳代から急激に増加する高齢者のがんだ。一般的に50歳以上の男性がPSA検査の対象だが、父親や兄弟に前立腺がんの患者のいる50歳以上の男性のがんになる確率は2倍に上がり、2人いる場合は5倍に跳ね上がるため、40歳代の人も検査の対象になる。
一般的にはPSA数値の4以下が陰性で、10以上は陽性。その間の4から10はグレーゾーンといわれている。がんの有病率はたとえ4以下でも0.2%、グレーゾーンでは10%、10以上では40%だ。PSAは他のがんの腫瘍マーカーに比べ、早期に対しても非常に高い感度があって、しかもわずか1ccの血液で検査できるため、スクリーニング検査いわゆる一次検査としては最も優れているので、住民検診だとか人間ドックで広く行われるようになっている。