あいたいAAB

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不穏な空気 温泉で流して

ぬるりと特に何の感慨もなく新年を迎えてしまった。心配になるくらい雪がない暖冬で、体が冬を感知していないせいもあったかもしれない。しかし新年早々、仕事始めの日に抜歯されるという思わぬ出来事があり、これは初詣のおみくじで凶を引いたせいかと新年の多難を予感させられたものだが、「神社が初詣の時期のおみくじに凶を入れとくもんかねえ?」などと悪態をつきたくなるのも仕方がないではないか。ただ、抜歯に関しては昨年から予定されていたもので、治療の流れとしてたまたまその日になっただけらしい。まあ、覚悟はしていたのだが。最近やっと歯が無くなった空間に慣れてきた。

何やら不穏な空気感漂う新年のスタートを切ったわけだが、先日の大館の取材ではそんな全てを洗い流してじんわりと穏やかな気分にさせてもらった。秋田犬がいる「ふるさわおんせん」である。夢のお告げで掘ったら湧き出た温泉で、レトロで町の定食屋のような雰囲気が漂う宿だ。日帰り入浴も格安でできる。秋田犬の母娘に迎えられただけで気分が休まる。簡素な浴槽だが、ナトリウム硫酸塩泉のお湯がいい。その温泉水で炊いたおかゆがまたうまい。オシャレ度は低いが、なぜだか気持ちがゆったりするのだ。今度は取材なしで泊まろうと思った。

(朝日新聞秋田版 2020年01月22日掲載)

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時間に追われ 焦る師走

また一年が過ぎようとしている。師走はまるで時間が加速するかのようだ。そんなはずはないのだが本当に1週間が短く感じる。あっという間にまた生放送である。このままではまた何も出来ないうちに新年を迎えてしまいそうで、はっきりとしないが確かにある焦燥感のようなものがじわじわ増幅していくような、いやーな日々である。

何しろ、何をしていいのかわからないのに何かしなくちゃいけないとあせっているのだから、何も進展するわけがない。一方のカミさんには具体的にやらなければならないことが山積みのようで、その多くは、どうやら私に原因があるらしい。この認識の差はもはや絶望的なほど深く大きく、まともに向き合うと大惨事になりかねない。少しずつ少しずつ山を崩し谷を埋めていく必要があるのだ。

しかしそれでは間に合うはずもなく、年を越すごとに問題が残っていき、一方はすぐそのことを忘れ一方は今後のスケジュールにきっちり組み込む。

誰がどう見たってスケジュールに組み込む方が正しいのだが、まぎれもなく正しくない私にとってはなかなか出来ない相談なのだ。決して開き直っているつもりではないけれど、間違いなく、怒りを買う羽目になる。うう、年末なんて無くなってしまえ!

(朝日新聞秋田版 2019年12月18日掲載)

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農産物は「大地の恵み」

先月下旬、友人から「かほり」という梨をもらった。ご存じの通り、香りの良さとジューシーさ、上品な甘みが特徴の大ぶりな梨である。天王にある友人の実家で作っているとのことで、ありがたいことに、毎年のように持ってきてくれるのだ。ハンコ屋の私から、お返しするものが無いのが無念である。

夏が暑かったのと秋に雨が多かった影響で例年以上に大きく育ったとのこと。試しに量ってみたら、1.5キロあった。こんなものが木から落ちてきたら万有引力を発見する前に気絶してしまう。もっともニュートンのリンゴの話は作り話らしいけど。

今年は、全国の広範囲で台風や豪雨の被害が甚大で、その惨状には言葉を失う。迅速な復興を願う。一方で、秋田県内の被害はそれほどでもなく、友人の実家でも無事収穫出来ているようだ。彼の印象では「秋田は奥羽山脈に守られている感じがする」らしい。例年の台風被害の少なさは、山菜などにも良い影響を与えているという話も聞いたことがある。

秋田の農産物はうまい。言葉通り「大地からの恵み」だし、関わる人たちの努力のたまものだ。この恵みに感謝し、その恩恵を末永く受け続けられるよう祈るのみだ。そのために、私たちは何が出来るのだろう? かほりをほおばって、考えてみる。

(朝日新聞秋田版 2019年11月20日掲載)

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16年かけ大きな船に成長

今月はサタナビっ!放送開始16周年ということで視聴者のみなさんには普段より豪華なプレゼントを用意しつつも、ほとんどいつもどおりに番組をお送りしている。と、1年前と同じことを書いてみた。実際にそうなのだから仕方がない。

先日、私の印章店にいらしたお客さんからも「サタナビっ!好きで見てるけど、随分長くやってますね」などと言われ「ええ、16年になりますねえ」と答えながら「ホントだ、長いわ」と改めて思った。

短くて半年、長くても2、3年続くかなあと始めたのだ。局のスタッフはいい番組をつくろうとしていたからそんな風には思ってなかっただろうが、私にはそのような意気込みみたいなものはまるでなかった。何しろ、無名で毎週出演できてギャラが安い、というのが出演の条件だったからねえ。おかげで気安く引き受けちゃって、今に至る、というわけで。しかし、鳴り物入りで始めた番組が短命で終わったりする世界で、逆風の中を小さな帆かけ舟でこぎ出したはずだった「サタナビっ!」は、結果として新しい時間や場所を開拓し、新しい行動をも生み出す番組に成長したのではないかと思う。

今や船の排水量も積載量も大きくなってスタッフは大変そうだ。私の方は相変わらずだけれども。

(朝日新聞秋田版 2019年10月16日掲載)

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歯の検診 痛くなる前に

私は歯医者が苦手だ。もちろん、歯科医の方々に問題はない。一方的に、ひたすら嫌なのである。おそらく、いや間違いなく幼少期の歯科治療の記憶のせいである。怖い、痛い、苦しい、やめてくれーである。おかげで多少病んでも歯医者には行かないダメな大人になってしまった。もう我慢できない、という状態にならないと行かない。当然、手遅れになる。大掛かりに歯を削ったり神経を抜かれたりする。それでまた歯医者が嫌になる、の繰り返し。

先日のこと、ものがかめないくらいの痛みで仕方なく歯医者に駆け込んだ。千葉先生は同学年で付き合いがあったので泣きついたわけだ。案の定、状態は悪く、レントゲンを撮った後「やばいよ、やばいよー」などとお笑いタレントみたいなことを言う。放っておいた自分が悪いのだが、笑えない。

現在、歯根の治療で通院中だが、最近の歯医者は怖くもないし、ほとんど痛くもない。治療室の雰囲気も明るく、スタッフも皆親切で優しくて、待っていてもどんよりした気分にならない。時代は驚くほど進んでいる。でも、まだ積極的に通う気にはなれないけども。ただ、これだけは声を大にして言いたい。「歯は痛くなる前に検診せよ、歯科は予防である」と。自分にね、言い聞かせてます。

(朝日新聞秋田版 2019年09月18日掲載)

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