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歯の検診 痛くなる前に

私は歯医者が苦手だ。もちろん、歯科医の方々に問題はない。一方的に、ひたすら嫌なのである。おそらく、いや間違いなく幼少期の歯科治療の記憶のせいである。怖い、痛い、苦しい、やめてくれーである。おかげで多少病んでも歯医者には行かないダメな大人になってしまった。もう我慢できない、という状態にならないと行かない。当然、手遅れになる。大掛かりに歯を削ったり神経を抜かれたりする。それでまた歯医者が嫌になる、の繰り返し。

先日のこと、ものがかめないくらいの痛みで仕方なく歯医者に駆け込んだ。千葉先生は同学年で付き合いがあったので泣きついたわけだ。案の定、状態は悪く、レントゲンを撮った後「やばいよ、やばいよー」などとお笑いタレントみたいなことを言う。放っておいた自分が悪いのだが、笑えない。

現在、歯根の治療で通院中だが、最近の歯医者は怖くもないし、ほとんど痛くもない。治療室の雰囲気も明るく、スタッフも皆親切で優しくて、待っていてもどんよりした気分にならない。時代は驚くほど進んでいる。でも、まだ積極的に通う気にはなれないけども。ただ、これだけは声を大にして言いたい。「歯は痛くなる前に検診せよ、歯科は予防である」と。自分にね、言い聞かせてます。

(朝日新聞秋田版 2019年09月18日掲載)

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盆踊り 子を追って冷や汗

夏祭りのシーズンである。県外から観光客が大勢出かけてくる祭りも多い。観光で訪れる人々にとっては、お目当ての祭り以外にも、その土地の「食」も重要。少なくとも私はそうだ。秋田の名物と言えば、鍋ものが筆頭になるけれど、やっぱり夏は夏らしい冷たいものがあっていいと思う。そこで「冷やがけそば」である。私の子どもの頃からあちこちで普通に食べられていたものだが、県外ではあまり見かけない気がする。秋田の夏の味として(地元では季節は関係ないけど)大々的に売り出してもいいように思うのは私だけだろうか……。

「冷やがけ」で有名な羽後町ではこの週末、西馬音内(にしもない)盆踊りが開催される。あでやかで幻想的な、生と死が交錯するかのような、エロチシズムを感じる盆踊り。うちの子が園児だった頃、家族で訪れたことがあった。ただ踊りを見に行ったつもりだったが、子どもは列に加わって踊れると言うので、喜んで参加させた。だが、踊りが始まるや否や私は冷や汗をかいた。踊りの列は進んでいくのである! 目の前から我が子がどんどん遠ざかって行く! いつ終わるのかもわからない。「すみません!」と、見物の人ごみの中をかき分けかき分け我が子の姿を追っていたのを思い出す。その節は迷惑かけました。

(朝日新聞秋田版 2019年08月14日掲載)

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まずは自分で考えないと

盛岡に映画「新聞記者」を見に行った。結構話題になっている政治サスペンスもので、残念なことに秋田では上映されず、岩手県まで出かけたわけだ。

昭和の時代には、政治モノの映画がよく上映されていたが、平成以降、SF以外はほとんど見かけなくなった。だから今回の映画が話題になったのだろう。政治に腐敗や謀略はつきものだったはずで、現実にもずいぶんなことになっている様子なのに、そういった内容のフィクションが成立しなくなってきたというのは解せない……。もしかすると、現実がフィクションを超えちゃっているってことかなあ。

陰謀を企てたり腐敗したりするのは、人間の弱さが原因の一つだと、また、他者を認めない思想がそれを後押しする大きな力なのだと、今回の映画を見て感じた次第。「誰よりも自分を信じ疑え」。劇中何度も出てくるこの言葉。難しいけど、まずはちゃんと考えろってことだと解釈することにした。

当日の朝ウェブで予約をした時はほとんど空席で(秋田の映画館ではよくある)話題なのに露出が少ないせいかななんて思いつつ客席に入ったらなんと満席!しっかり関心が集まっていることに少し安心した。帰り際、秋田から来たご夫婦に「ZENさん?」と声をかけられた。ちょっとうれしかった。

(朝日新聞秋田版 2019年07月24日掲載)

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移動したくてムズムズ

もろもろ変化があると良い、というようなことをこの4月に書いたが、さらに私には常々欲しいものがある。「移動」である。誤解されては困るのだけれど、全てに変わる努力が必要だとか、どんどん動かなきゃいけないとかいうのではない。世の中には変わらない方がいいものだってあるし、動きたくない時や動かない方がいいコトもある。つまりは時と場合によるわけだ。当たり前の話のようだけども。

若い頃は今以上に落ち着きがなかった。東京にいた17年で7回引っ越しした。8回目で秋田に戻ったわけだが、それから20年、同じ場所に住み続けている。もちろん、子どもができて生活の中身が完全に変わっているから、単純に比較はできないけれど、時々お尻の辺りがムズムズしたりする。

最近、仕事の都合で県外に出る機会が多く、そんなムズムズも多少抑えられている。そう、旅行みたいな移動でもいい。「ここではないどこか」ということが大事なのだ。先日、JR羽越線で本荘まで行った時も、車窓のおぼろな夕景に思わず見入ったり、「砂の器」で有名な羽後亀田駅で(当時の面影はなかったが)ときめいたり、羽後本荘駅からの徒歩での道のりは、見知らぬ町のように感じられ、新鮮で面白かった。まあ、そういうことなのだ。

(朝日新聞秋田版 2019年06月19日掲載)

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お笑いの舞台 ぜひ「生」で

番組出演者に長谷川瞬さんが加わってひと月以上たった。秋田で活躍するお笑いコンビ「ちぇす」の1人だ。私は、彼らのことを知ってはいたが実際にお笑いの舞台を見たことがなかったので、番組で初めて対面した。出演者と初対面というのは何も珍しいことではない。なぜなら私は「サタナビっ!」以外でのタレント活動はほとんどしていないので、いわゆる業界の人たちと出会う機会がないからだ。案外せまい世界なので、それぞれどこかで一緒に仕事をしたりしていて、私以外のスタッフや出演者同士はだいたい顔見知りだったりするのだが。

地方には、芸人と呼ばれる職業の人たちはそうはいない。理由は様々だが、とにかく多くない。そんな中で活動する「ちぇす」である。ちゃんとステージを見ないといけないし、番組をご覧の皆さんにも、きちんと紹介する必要があろうということで、湯沢市で定期的に開かれている公演に、先日、取材に出かけた。落語家「きり亭たん方」も出演する、湯沢サンサン寄席。小さな会場ではあったが、客席の雰囲気がとても良く、爆笑に次ぐ爆笑で、あっと言う間に終演となった。もっと見たかったなあ。

やはり、落語も漫才も「生」に限る。皆さんもぜひ、生のステージを体験してみて下さい!

(朝日新聞秋田版 2019年05月22日掲載)

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