あいたいAAB

山下 右恭

今こそ練習 県民歌

「秀麗無比なる鳥海山よ」。この歌詞で始まる歌、みなさんわかりますよね。1930年に制定されてから歌い継がれている秋田県民歌です。初めて聞いたのは秋田ノーザンハピネッツの試合会場でのこと。試合前に必ず歌われていて、会場にいるほとんどの人が完璧に歌える光景は、他県から来た私にとって不思議なものでした。

全国的にも県民歌がこれだけ浸透しているのは珍しく、秋田のほかに長野県の「信濃の国」、山形県の「最上川」の三つが三大県民歌と言われているそうです。会場で聞くと、壮大で場内を揺さぶるような一体感が感じられ、何度聞いても圧倒されます。なにより秋田にゆかりのないハピネッツの選手たちが口ずさむ姿を見ると、ジーンとくるものがあります。

そんな試合前の定番となっていた県民歌の合唱も、今年は新型コロナウイルスの影響で中止に……。当たり前だったことができなくなったからこそ、改めて選手の背中を押していた歌の大切さを感じます。

「コロナが落ち着いたら、迫力ある県民歌の合唱を会場に初めて訪れた人に見せたい!」。そう意気込み、OA前にスタジオで発声練習を兼ねて歌うと、心なしか声が響くようになった気がします。来たる日までみなさんも鈍らないよう練習が大事ですよ。

(朝日新聞秋田版 2020年12月05日掲載)

山下 右恭

形から「入らずに」

「形から入るタイプ」と言われる人はいませんか? 例えば、プロスポーツ選手と同じ道具やウェアをそろえてから頑張る人などをそう呼びますよね。私はというと真逆のタイプで、「やってみて良ければ道具をそろえるタイプ」です。この考え方で良かったと思えることもたまにはあるのです。

1カ月ほど前から始めたゴルフでのこと。意気揚々と練習場に行くと早速困ったことがありました。打席のほとんどが「右利き専用」だったのです。左利きの私が不便を感じることは日常多くありますが、こんな所にもあるとは……。右で打つ感覚は全くわからず、ボールに当てるのがやっとでした。「右ではこんなものか」と思っていましたが続いて挑戦した左利き用の打席では、なんとボールに当たりもしませんでした。

運動神経は良い方だと思っていた私のプライドが崩れ落ちたと同時に、左利き用の道具をそろえていたらすぐにくじけていたかもしれないと感じました(左利き用の道具の方が値段も少々高めだそうで、早まらずに良かったです)。

ちなみに「やってみて良ければ道具をそろえるタイプ」と言いましたが、ゴルフ用品はまだ買っていません。上達の可能性がありそうな「右」で、気持ちよくボールを前に飛ばせるようになるまで、もうしばらくの辛抱です。

(朝日新聞秋田版 2020年09月12日掲載)

山下 右恭

海眺め ほっと一息

ふーっと一息つける場所、みなさんにはありますか? 考えに行き詰まった時、悲しい出来事があった時、自粛疲れのストレスを解消したい時。そんな一息つきたい時、私はのんびりと日本海を眺めています。もちろん、波の荒い海ではなく太陽に照らされキラキラと輝く海です。

地元滋賀県からは車で1時間ほど走ると日本海に着きます。わりと近くにありましたが、海で泳いだ記憶はありません。なぜならもっと近い、歩いて5分の場所に琵琶湖があるからです。ビーチがあり、魚釣りもできて、遊びに困ったら「琵琶湖に行くか」という感覚でした。子供のころ琵琶湖の地形を変えようと、日が暮れるまで湖岸で石を積み続けていた遊びも今となっては良い思い出です。そんな毎日見ていた景色に日本海の景色を重ねることで、どこか心が落ち着くのかもしれません。淡水と海水で全く違いますが、対岸が見えないという点では琵琶湖も本当に海のようですからね。

幼いころに琵琶湖を見て思ったのは「対岸ってどうなっているのだろう」でした。大人になった今もその思いは変わりません。自粛生活が続いていたからか、海を見るとその思いはどんどん増しています。ふーっと一息ついた後、海外旅行ができる世の中に戻ることを願っています。

(朝日新聞秋田版 2020年06月06日掲載)

山下 右恭

ベストな毛布の掛け方は

暖冬と言われる今年ですが、秋田の冬はやはり寒い。家に帰ったらすぐコタツをつけ、カタツムリのように1時間まったり過ごすのがルーティンです。

ただコタツにエアコンにストーブ……、使いすぎては暖房費がばかになりません。いかに安く暖かく過ごせるか、毎年のように悩まされます。そこで賢く使いたいのが毛布。ふわふわの肌ざわりがなんとも言えず、必ず布団の下に敷いて寝ています。

しかし最近、真実を知ってしまいました。毛布は布団の上に掛けた方が暖かいということを。一度試してみましたが、みなさんはどうでしょうか。確かに暖かさは感じるものの、あの毛布の特徴であるふわふわ感を全く得られず。ならば布団の上に掛けるものは毛布でなくても良いのではという考えに至りました。自分の常識が違っていたことに驚きはありますが、自分にとってベストな毛布の掛け方で眠るのが心も身体も温まりそうです。詳しく調べてみると、羽毛布団の場合は布団の上に毛布を、綿布団などは下に毛布を敷いた方が暖かくなるようです。

“納豆のタレは混ぜる前に入れた方がおいしい”“歯磨き粉は水を付けない方がよい”など「常識だと思っていたものが実は違っていた」なんてことは探せばまだまだ出てきそうですね。

(朝日新聞秋田版 2020年03月04日掲載)

山下 右恭

若者よ 方言使い続けて

「英語を話す人は英語の夢を見る」と言いますが、秋田の人は夢に秋田弁がでてくるのでしょうか? 私は残念ながらどちらも夢で見たことがありません。それでもこの前、仕事中にお礼を言われた時にふとでた言葉、それが「なんもですよ」。

秋田で暮らして3年目、元々は縁もゆかりもなかった土地で秋田弁を話すようになるなんて思いもしませんでした。郷に入れば郷に従えとは少し違いますが、地に根を張って生活すると自然と染まっていくものなのかと驚いています。

私の地元滋賀県では老若男女問わず関西弁を使います。一方で関西以外の地域では方言を話す若者が減っていると言われ、もちろん秋田の若者も例外ではありません。それでもたまに耳にする若者の秋田弁にはどこかうれしさを覚えます。例えば、捨てるという意味の「投げる」(ちなみに関西弁では捨てることを「ほかす」と言います)。「これ投げといてー」なんて言葉が聞こえてきた時には、あーやっぱり秋田の子なのだな、と。年配の人が話すような秋田弁でなくても、地元に愛着がわく一つのツールとして方言が若者の中で生き続けてほしいです。

私の次なるステップは「け」をうまく使いこなせるようになることですかね。

(朝日新聞秋田版 2019年12月04日掲載)

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