あいたいAAB

山下 右恭

名前で弾む初対面の会話

いつまでたっても緊張することの一つが「初対面の人と話す」こと。その場の雰囲気を盛り上げるため相手との共通の話題を探していると、なんだか独特の空気に包まれますよね。アナウンサーなら得意分野とは限りません。こればかりは人見知りな性格が問題のようです。

そんな時に相手に言われてうれしいのが「左利きなんですね」という言葉。実は私、左利きなんです。

だから何?と言うなかれ。私にとってコミュニケーションを円滑にする重要なポイントです。「名前に右という字が入っているのに左利きなんです」などと軽く返しつつ、名前の由来について説明することで会話が弾むのです。

出身地や血液型、方言など様々な会話の切り口がありますが、私は「右恭」(うきょう)という名前を武器にしています。杉下右京さんが活躍する人気ドラマ「相棒」が放送されるAABで働いているのも何かの縁でしょうか。ちなみに、名前の由来は父親が元F1レーサーの片山右京さんが好きだったからと聞いています。

先日、初対面の人との会話のコツをネットで調べたところ、「自分のことばかり話さず、相手から話を聞き出すこと」とありました。アナウンサーにとっては得意分野であるべきことのようでした。まだまだ勉強が足りないようです。

(朝日新聞秋田版 2022年03月19日掲載)

山下 右恭

ウサギ?カメ?それとも・・・

足の速いウサギと足の遅いカメが競走する童話「ウサギとカメ」。

ウサギがスタートダッシュを決めゴール付近でゆっくり昼寝をしている間に、カメがコツコツと歩みを進め、最終的に勝利するという有名な話です。人生に当てはめると、カメのようにゆっくりと着実に物事を成し遂げていくことの大切さが感じられますよね。

私はというと・・・・・・。どちらにも当てはまりません。いや、むしろ私のようなタイプの方が多いような気がするのですが。
 それは”ギリギリに追い込まれてから本気を出す人”です。わかりやすく言えば、夏休みの宿題を残り3日でなんとかする人、良く言えば”火事場の馬鹿力タイプ”でしょうか。
ただ社会でこの性格はあまり重宝されず、バタバタと周りに迷惑をかけてばかりの日々です。ちなみにこの原稿も締め切り当日に追い込まれて書き始めました。

実はこの童話にはちょっと違った解釈もあると、ある本で知りました。それはゴールを見ることの重要性です。カメはゴールを見ていたが、ウサギは競争相手のカメを見ていた。視点が違ったからこそカメが勝てたというのです。

何かと比較されることの多い社会では、どんな性格であろうと、自分の決めた(正しい)ゴールを見続けられる人こそが本当に重宝されるのかもしれません。

(朝日新聞秋田版 2021年12月18日掲載)

山下 右恭

「サキホコレ」成長に感激

朝晩ぐっと冷え込んできましたね。これからさらに冷え込みが強まり、木々が赤や黄色に色付いていく・・・。今年も秋がやってきました。この時期は黄金色に輝く稲穂の景色が一面に広がっています。秋田に来てはや5年。味覚音痴の私ですが、あきたこまちのおいしさには魅了され、毎年新米の季節を心待ちにしています。

そんなコメどころ秋田で、満を持して今年プレデビューするコメがあります。秋田の最高級ブランド米として販売される「サキホコレ」です。夏場の猛暑にも負けず、無事に稲刈りまでたどり着きました。
 私は取材で、県南のある農家にサキホコレの種が届いたころから通い、その成長を見続けてきました。管理・栽培しているのは農家の方ですが、立派に実った稲穂を見ると、まるでわが子を育てたかのごとく感激しています。

サキホコレの特徴はなんといっても開発時に追求した食味の良さです。ありがたいことに取材の中で何度か試食をさせて頂きましたが、ふっくらと粒感のある食感とかめばかむほど広がる甘みは忘れられません。全国各地でブランド米が誕生している中、産地間競争に負けないよう「咲き誇る」ことを期待しています。

先行販売は11月上旬から。食卓にサキホコレが並ぶのが楽しみです。

(朝日新聞秋田版 2021年09月25日掲載)

山下 右恭

リポートは五感を使え

「初心忘るべからず」。物事を始めたばかりの頃の気持ちを忘れてはいけないという言葉です。アナウンサーになって5年目。食リポなど様々なリポートを経験してきた中で、また新たな壁が立ちはだかりました。

それはAABの3番組が集結し、先月29日に放送した「秋田を応援!あしたへスイッチ!スペシャル」でのこと。番組は新型コロナ感染拡大の影響で困っている宿泊施設や飲食店を応援しようというもので、私は仙北市の南玉川温泉を取材しました。

入浴シーンを撮影するというのもある意味”壁”でしたが(笑)、立ちはだかったのは初めての温泉リポートでした。温泉に入ると仕事を忘れるといいますが、まさにその通り。「気持ちいい、最高!」という言葉以外まったく出てきませんでした。

熱めの湯でポカポカになり、いよいよゆでダコ状態になった時、ふと頭をよぎったのが「リポートは五感を使え」という言葉。入社してすぐに教わったアナウンサーの基本ともいえるものです。見た目や肌ざわり、香りなど、今思えば当たり前のことですが、温泉リポートにも生かせることに驚きました。

「出来ない自分=裸」を見られる恥ずかしさがある一方で、「初心=基本」の大切さに立ち返れた気もします。湯冷めしないうちに復習します。

(朝日新聞秋田版 2021年06月12日掲載)

山下 右恭

お返しに花いかが

小さな手で100円玉3枚握りしめて近所の花屋へ。か細い声で「カーネーション1本下さい」。

先日秋田市の花屋を訪れた際、初めてお小遣いで母に花をプレゼントしたことをふと思い出しました。当時、店員さんに話しかけることさえ恥ずかしかったのですが、花を選ぶ時のワクワクする気持ちは今もおぼえています。

花屋に行ったのはバレンタインの特集取材のためです。バレンタインデーと言えば、日本では女性から男性にチョコレートを贈るのが一般的ですが、欧米などでは男性から女性に感謝の気持ちを込めて花を贈る日なんです。県内でも10年ほど前から花の消費拡大を目指して「フラワーバレンタイン」を広めようと取り組みが進められていますが、「母の日」のような一大イベントには、まだなっていません。

思えば初めて母に花をプレゼントした時、花を贈ることにどこか照れくささを感じていました。男性は可愛い花を買ったり贈ったりすることに少し抵抗があるのかもしれません。しかし、コロナ禍で家での生活に彩りを求めて花を飾る人が増えた今は、男性が花をより身近に感じられるチャンスかもしれません。バレンタインのお返しを考えているみなさん、まずはホワイトデーに花を贈るのも一つの手ですよ!

(朝日新聞秋田版 2021年03月06日掲載)

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