
小学生の頃はバスケットボール、中学では吹奏楽、高校では陸上、大学はソフトボール……。サッカーと無縁の人生を送ってきた。しかしテレビ業界に入ってからというもの、取材や実況などでかれこれ10年近くサッカーに携わっている。
先日、ブラウブリッツ秋田のホーム戦の実況を担当した。プロ失格だと思われそうだが、放送中は常に劣等感にさいなまれている。プレー経験が全くない、故に説得力が皆無なのだ。「ナイスプレーでした!」なんて言いながら、心の中では(経験者が見てもそう思うだろうか)とか(素人がエラそうに)とか、ついついマイナス思考になる。
アナウンサーを志した小学5年生の夏、こんな境地に達すると知ったら、何か対策を講じただろうか……。考えたって仕方のないことだ。そういう仕事だから、と割り切れる人は良い。死に物狂いで努力して一流の実況者になった人も少なくない。でも、私はたぶん違う。
「自分が決めた人生なら人生に振り回されても耐えられる」。好きなドラマのセリフだ。とどのつまり、そう信じて歩き続けるしかないのだろう。人生に正解も不正解もないのだから。