あいたいAAB

藤盛 由果

自由あふれる絵本

小学校高学年の夏休みに、絵本で読書感想文を書いた。同級生たちが伝記や小説を題材にする中、どうして?と聞かれた記憶がある。私は絵本こそ自由で、だからこそ深く考え、心がたくさん動くと思うのだ。

絵本の主人公たちは本当に自由だ。いろんなものが意思を持ち、おしゃべりをするなんて事は当たり前。大きさも、形も、色使いも、行動も……。今の私には思いつかないようなことばかりが短い文章の中で起こる。どうしてこうなった、と理詰めで考えたくなる大人の私を黙らせてじっと絵や行間を見つめているうちに、少しずつ絵本の世界にのめり込んでいく。子どもの頃は今のようにVR(バーチャルリアリティー)の機器がなくても、想像の世界でいつでも何にでもなれた。そんな自由な発想の根っこには、絵本があったように思う。

先日、大館市の「こどもと絵本の家」にお邪魔した。何百冊という中に、私が幼い頃に何度も読み返した大好きな絵本を見つけた。あの頃の私のように、この絵本を好きでいてくれる子がいると思うと、心があったかくなった。

その日私は、お気に入りのワンピースを着たくなった。そして「わたしに似合うかしら」と誰かに聞いてみたくなった。同じ絵本を好きだった方、いませんか?

(朝日新聞秋田版 2020年12月19日掲載)

藤盛 由果

距離があっても…

人と話すこと、話を聞くことが好きでこの仕事に就いている私にとって、今の状況はちょっと……いや、かなりつらいものがあります。話に興味が湧いてくると、気持ちはもちろん姿勢もどんどん前のめりになってしまう癖。途中でハッと気が付いて2、3歩下がる。お互い苦笑い。「ソーシャルディスタンスですもんねぇ」と言って、会話に間が出来る。早く慣れなければと思いながら、新しい生活様式が体に染み込むまではまだ時間がかかりそうです。

番組を作る上でも対策を考えています。以前であれば、この写真のような距離感は考えられなかったこと。でもこれが新しい生活様式です。一つメリットがあるとすれば、以前よりも表情で訴えるようになったことでしょうか。どんなに距離があっても、マスクで顔が半分見えなくても、スムーズにコミュニケーションが取れるようになったと思います。特におでこやまぶたの筋肉をいっぱい使い、表情筋が鍛えられているような。

千田アナ、登アナ、そして私とちょっと珍しい組み合わせの3人ですが、26日放送の特別番組「秋田を応援!あしたへスイッチ!SP」の1コマです。久しぶりにたっぷりとお話しできました。話すって、やっぱり楽しい。ニュースを伝える時とは違う2人の表情にも注目です。

(朝日新聞秋田版 2020年09月19日掲載)

藤盛 由果

魚さばき、前向きに

魚をさばいたこと、ないなぁ……。テレビで、一から魚をさばいて寿司(すし)を握るシーンを見て、ふと思いました。それなりに料理は作れる(つもりでいる)のですが、私の料理のレパートリーに、魚料理はほとんどありません。魚を触るのが苦手というわけではありません。釣りは何度か経験済みで、むずっとつかめます。もちろん、食べるのも大好きです。ただ、自分でも驚くほど不器用なんです。おにぎりも三角形になりません。そんな私が魚をさばくなんてケガするだけ……と思っていましたが、思い立ったが吉日。旬のアジの三枚おろしに初挑戦しました。

結果は写真の通り。思った以上にうまく三枚におろせました!なんでもチャレンジしてみるものですね。次はどんな魚をさばこうか、どんな料理にしようか、意欲が湧いてきました。なによりも、今まで苦手、出来ないと思っていたことも、今なら出来るんじゃないかと思えるように。まさか、三枚おろしで前向きになれるとは。

ちなみに、この日のアジは、「なめろう」になりました。身がボロボロになってもおいしく食べられるよう、ショウガや大葉を買っていたんです。これだけきれいにさばけたら、刺し身でも良かったなと少し後悔。でも、もう自分で食べたい時にさばけますからね。旬のうちにもう一度。

(朝日新聞秋田版 2020年06月20日掲載)

藤盛 由果

「すべきこと」考える力を

9年前の3月11日。私は実家で、秋田での新生活に向けた引っ越し準備をしていました。数日後にはAABでの研修がスタート予定。期待に胸躍らせていました。しかし、あの地震で全てが変わりました。あまりに大きすぎて把握しきれない被害状況。いつ起こるかわからない余震。行き届かない物資。普段と異なる状況の中始まった研修は、先輩方の姿を後ろから見ていることしか出来ませんでした。何をすればいいのかわからない……というか、何もわからない。伝えるってなんだ。私に出来るんだろうか。不安でいっぱいのスタートとなりました。

そんな時、思い出す言葉があります。「すべきことをしなさい」。恩師の言葉です。迷った時はシンプルに、今自分がとるべき行動が何かを考える。先を見すぎると不安なことばかりが目に入りますが、そんな時こそ「今」に向き合い、すべきことを自ら導き出せるようにありたい。そう自分に言い聞かせる今日この頃。今まさに、その力が問われている気がします。

あの日から丸9年。つまり、もうすぐ私も社会人10年目に突入です。何年経っても、すべきことの判断を間違うことが多々あります。それでも、どうすべきか“考える”ことは忘れずにいたいものです。

(朝日新聞秋田版 2020年03月11日掲載)

藤盛 由果

ふるさとの魅力 30秒に

中学・高校と放送部に所属していた私。年に何度か放送コンテストがあり、出品用のドキュメンタリーやドラマ作品を部員のみんなと作っていました。その時のことを思い起こしてみると、まず題材を決めるので一苦労。校内での出来事で作ると言っても、学級、部活動、行事、委員会……テーマになりそうな物はわんさか。むしろ、なんでもテーマになります。珍しさや奇抜さで攻めるか。身近なものを視点を変えて表現してみるか。ああでもない、こうでもないと議論と言う名のけんかを繰り返し、決まってからもまた、やっぱりこっちの方が……と作品を提出するまで悩み続けるのです。

先日、あきたふるさと手作りCM大賞の収録が行われました。私も秋田で生まれ育ち、取材を通して各地を訪れているため「この市町村といえばコレ」というものが何となくあります。それでも毎回驚かされるのがCM大賞。こう来たか、とみなさんの発想に脱帽です。自分の住んでいる所って全てが“当たり前”に見えて、テーマを決めるだけで大変だと思うんです。学生時代の私がそうだったように。

30秒という短い時間に、各市町村の魅力がぎゅっと詰め込まれています。「あきたふるさと手作りCM大賞」は12月7日午後2時からの放送です。

(朝日新聞秋田版 2019年11月27日掲載)

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