あいたいAAB

新岡 智昭

雪なき冬に寂しさ

かなり控えめに言って、日本海側の冬が得意ではない。大学卒業まで太平洋側で暮らし、北陸・金沢で迎えた23歳の冬は、周りから心配されるくらいドンヨリとした気持ちで過ごしていた。「昔に比べたら雪は少なくなった」という言葉は、なんの慰めにもならなかった。雪の量なんてどうだっていい、鉛色の空が続く日々が大問題だったのだ。もしもウィンタースポーツになじみがあれば、捉え方は違っていたのかもしれない。

そういう意味において、今季の冬は穏やかに過ごせた。だが、本格的な春の訪れを目前にして、そこはかとない物悲しさを感じている。それは、雪かきをほとんどしなかったことに起因している。アパートの駐車場で雪かきをしていると、自然と近所の人との会話が増える。「一晩で結構積もりましたね」などといったたわいもない内容だが、普段のあいさつよりも何だか情緒があって好きだったのだ。

雪が降らなくて寂しいなんて、23歳の私が聞いたらきっと腰を抜かす。新社会人のみなさま、これから様々な経験を積むだろうが、その瞬間に感じたこととは違うことを数年後に思うこともあるものだから、気長に頑張っていただきたい。……なんて陳腐なアドバイスを送ってしまうのも、年をとったせいかな、なんちゃって

(朝日新聞秋田版 2020年04月04日掲載)

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