あいたいAAB

藤盛 由果

自由あふれる絵本

小学校高学年の夏休みに、絵本で読書感想文を書いた。同級生たちが伝記や小説を題材にする中、どうして?と聞かれた記憶がある。私は絵本こそ自由で、だからこそ深く考え、心がたくさん動くと思うのだ。

絵本の主人公たちは本当に自由だ。いろんなものが意思を持ち、おしゃべりをするなんて事は当たり前。大きさも、形も、色使いも、行動も……。今の私には思いつかないようなことばかりが短い文章の中で起こる。どうしてこうなった、と理詰めで考えたくなる大人の私を黙らせてじっと絵や行間を見つめているうちに、少しずつ絵本の世界にのめり込んでいく。子どもの頃は今のようにVR(バーチャルリアリティー)の機器がなくても、想像の世界でいつでも何にでもなれた。そんな自由な発想の根っこには、絵本があったように思う。

先日、大館市の「こどもと絵本の家」にお邪魔した。何百冊という中に、私が幼い頃に何度も読み返した大好きな絵本を見つけた。あの頃の私のように、この絵本を好きでいてくれる子がいると思うと、心があったかくなった。

その日私は、お気に入りのワンピースを着たくなった。そして「わたしに似合うかしら」と誰かに聞いてみたくなった。同じ絵本を好きだった方、いませんか?

(朝日新聞秋田版 2020年12月19日掲載)

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