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生きたヤツメと格闘の末

最近はあまり見なくなってしまったが、秋田の食文化にヤツメウナギがある。ウナギとは全くの別物で、円口類というあごのない原始的な種なのだが、形が似ているし、資源量が激減していることもウナギと同様である。だからやっぱり値が張る。それと世界各国で盛んに食されていることも似ているところだ。

内臓肉のような独特の風味を持ち、苦手な人もいるようだが、私の好物のひとつだ。塩焼きや、みそ味の鍋が美味。欧風、中華風の食べ方もかなりいける。

そんなヤツメを知人からいただいた。しかし、家庭で生きたヤツメをさばくのは大仕事で、軍手と目打ちは必須。ぬるぬるした体でのたうち回り、目打ちを突き立てることもなかなか困難なのだ。やっと押さえてぶつ切りにしたのだが、まな板は血の海だ。「ひーっ」と私の後ろでカミさんが悲鳴をあげる。今回は串打ちして塩焼きにした。

悲鳴をあげていた富山出身の家人は、秋田に来るまでヤツメというものを知らなかったが「やっぱりヤツメはさばきたてだねー、歯ごたえと香りが違う」と、今やすっかりお気に入りである。生きたやつを相手するのは常に俺だけども。

(朝日新聞秋田版 2022年06月03日掲載)

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