あいたいAAB

ZEN

ああ、仕方ないな

「どこへ出しても恥かしい人」。秋田出身の詩人、歌手、画家、競輪解説者、など多くの肩書を持つ、友川カズキを追ったドキュメンタリー映画のタイトルである。

新型コロナの影響もあって公開が延びていたが、先月から今月7日まで、大館の御成座でもやっとこさ上映にこぎつけたようだ。知人からの情報で知った私は先月末、大館駅前にある昭和中期のまんまの雰囲気でたたずむ映画館に駆けつけた。相変わらず、切符のもぎりから上映、清掃までたった一人の映写技師がこなす様子には頭が下がる、と言うより、悲壮感すら漂う。地方の単館系の映画館は今や絶滅危惧種だ。いつ無くなってもおかしくない経済状況の中で、少数の方々の努力で踏ん張っているのだ。私たちは上映される作品を観(み)に行くしか出来ることはないので、観に行くのだ。

映画は最高に面白い。大笑いしながら、うなり、考える。友川さんのライブを観ているかのようであった。全く大衆的でなくタイトル通り世間的にはほめられた生き方ではないかもしれないが私には憧れの人である。ぜひ多くの人に観てもらいたい映画だ。

帰り道、いい気分で車を走らせていると雪にはまってしまった。なぜだか「ああ、仕方ないな」と思った。

(朝日新聞秋田版 2021年02月06日掲載)

TOPへ戻る