あいたいAAB

新岡 智昭

「爪痕」残せて安堵

去年12月、ANNアナウンサー賞の最優秀新人賞を獲得した。テレビ朝日系列26局のアナウンサーの中で「研鑽(けんさん)が顕著だと認められ、他の模範として奨励できる者」に贈られる。(自分で書くと顔から火が出そうだ!)

30歳にして新人とはいかがなものかと思われるだろうが、アナウンサー歴5年以内が対象で、私はギリギリ5年目だったのだ。何はともあれ受賞は光栄。だが同時に、ある感情が心をよぎったことを正直に吐露したい。

ひどく安堵(あんど)してしまったのだ。評価など二の次でプロの伝え手として愚直に仕事をするのみ!……。そんな強気の姿勢を1年目から貫いていたつもりだったが、実際のところ承認欲求の塊に過ぎなかった。「爪痕」を残すことに固執していたが故の安堵である。

自らの凡庸さに尻込みはしたが、物事は前向きに捉えるべきだ。肩の荷が下りたことで、より純粋な気持ちで仕事に臨めそうな気が、今はしている。テレビマン人生があと何年続くか分からないが今後も精進したい。

ところで年末に大掃除をしていたら、新人時代の手帳を発見した。4月のページを開くと「出世も賞レースも興味なし!」と書き殴られていて仰天した。どういう状況で書いたか忘れたが、さすがに青臭すぎるぞ、昔の私。

(朝日新聞秋田版 2021年02月20日掲載)

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