社長ブログ

2019/08/28

幻想的な雰囲気を堪能 伝統のお祭りいつまでも | 林 敦彦

 夏の夜を楽しもうと、秋田が誇る「夏祭り」を見に出かけた。ひとつは全国三大盆踊りの一つに数えられる「西馬音内(にしもない)盆踊り」(羽後町)。一昨年秋に秋田に赴任することが決まってから楽しみにしていた祭りだった。ちょうどそのころ、名探偵が事件を解決する2時間もののサスペンスドラマの再放送で、この羽後町を舞台にしたシリーズが放映されていて、藍染めの浴衣に黒布の頭巾を被った男性が殺されて見つかるシーンが、不謹慎だなあと思いつつも、妙にアタマの片隅にひっかかっていた。

 盆踊り二日目の17日の夜遅く、友人が案内してくれた。かがり火が街道にたかれ、会場中心部に陣取った囃子方にあわせて、踊り手が一心不乱に踊る幻想的な雰囲気にしばし、ときを忘れて酔いしれた。にぎやかな「音頭」と、哀愁漂う「がんけ」の二通りの踊りについて、知人の解説をきいた後、一時間近く踊り手たちの手ぶりや足裁きをみていると、熟練度の違いがなんとなくわかってきた。「がんけ」で、くるっと一回転する場面で、草履と地面にまかれた砂が摩擦する音にも風情を感じた。ただ途中で草履の鼻緒が切れてしまい、踊りの列から脱退するのは、まだ踊りなれていない人だとも伺った。

 衣装も見どころのひとつ。華やかな「端縫い衣装」や、「藍染め浴衣」は先祖代々、「形見」として引き継がれることも多いそうだ。編み笠や彦三(ひこさ)頭巾で顔を隠して、素晴らしい踊りを披露する人をみつけると、男女問わず、どんな方だろうと顔もみてみたいなあと思う場面もしばしばだった。目の部分だけをくりぬいた彦三頭巾は妖しい雰囲気を漂わせているが、「亡者踊り」と呼ばれる所以でもあると聞いて、3年前にみたサスペンスドラマの原作者はこの雰囲気も引っかけていたのだと、得心がいった。

 「西馬音内踊り」をみた3日後の20日は、「花輪ばやし」を一目見ようと鹿角市へ。「山・鉾・屋台行事」の一つとしてユネスコ無形文化遺産に登録されている花輪ばやしは、先輩記者の記事でも知ってはいたが、なんとか実物をみたいと、秋田市から2時間半かけてたどりついた。JR花輪駅前に10町内の屋台が集結する最高潮となるタイミングになんとか間に合ったが、迫力たっぷりで圧巻だった。西馬音内踊りもそうだったが、夜の早い時間だけでなく、遅い時間まで多くの子供たちが残って、祭りを楽しんでいるのにも驚いた。羽後や鹿角の地元の方にきくと、正月やお盆期間よりも、祭りにあわせて帰省してくる人がまだまだ多いそうだ。二つとも国重要無形民俗文化財だが、これ以外にも秋田には多くの夏祭りがある。これからも、末永く続いてほしいと願わずにはいられなかった。

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