社長ブログ

2021/01/21

哲学を語る政治家 | 桜井 元

 元衆院議員で民主党副代表、「次の内閣」外相などを歴任した伊藤英成さんが19日、亡くなった。79歳だった。2003年に政界を引退したあとも、伊藤さんが上京する機会にあわせて、政治記者たちが集まった。民主党を担当したことがない私も、仲間に加えていただいた。秋田空港で買った「あつみのかりんとう」を差し出すと、ニコっと笑顔が返ってきた。

 伊藤さんが声をかけ、現役の政治家を中心にゲストを呼んで、まず伊藤さんとゲストの対談から始まり、そこへ記者たちが割って入る、という談論風発の会。「オフレコの約束が一度も破られたことがない」というのが、伊藤さんの自慢だった。

 がんの手術をして飲み物ものどを通りにくかった与謝野馨さん、倒れる前の谷垣禎一さんも「伊藤さんのお誘いなので」と顔を出してくれた。伊藤さんより2歳年上で(1983年12月の)初当選同期の二階俊博さんは、自民党幹事長になる前から何度も出席。日中友好にかける想い、「外交哲学」を熱く語る伊藤さんを前に、「ほう、ほう」と楽しそうに頷く姿が思い出される。

 

 二階さんは20日の衆院代表質問で、菅義偉首相に「政治哲学を語っていただきたい」と促した。これに対し、菅首相は「政治家を志した時から、国民目線の政策を……」などと答弁したが、「国民目線」は政治姿勢であって、政治哲学ではない。

 二階さんの期待した答弁は、次のような内容ではなかったか。伊藤さんと向き合った二階さんの笑顔から想像すると――

 

 首相に就任した際、哲学といえるほどの内容ではありませんが、「自助・共助・公助」と申し上げました。これは、言わば平時の政治信条。コロナ禍のような有事では、当然ながら「公助」の重みが増します。そういう意味で、施政方針演説では言及を避けました。

 我が政治の師・梶山静六さんは、「大乱世の梶山」とも言われましたが、色紙に揮毫を頼まれると「愛郷無限」と書き、政治の目的・信念を問われると「二度と戦争をしないこと」と答えました。

 しかし、現状は100年前の「スペイン風邪」に続く、ウイルスとの「第二次世界大戦」の真っただ中と言えるのではないでしょうか。我が党は、「自由と民主主義」を党名に掲げていますが、私たちはいま「移動の自由」が大きく制約されるという戦時下の現実に直面しています。

 ウイルスとの戦争中はもちろん、おそらく終息後の新しい平時が始まっても、これまでの政治哲学は、そのままでは通用しないのではないか。私はそう危惧しています。

 このパラダイムシフトに即応していける政治哲学とは何か。こうした活発な議論が今こそ、与野党の枠を超えて、国会議員には求められているのではないでしょうか。政治の底力を見せる時です。新時代の政治哲学を打ちたてていきましょう。

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