あいたいAAB

新岡 智昭

チャットモ「完結」心に穴

いつだって気ぜわしさと寂寥を帯びて近づくのが年の瀬。1年を顧みると、私にとって最大の事件は、人気バンド・チャットモンチーが7月に解散、本人たちの言葉を借りれば「完結」したことだ。

音楽、とりわけロックに心酔するきっかけをくれた。中学時代に親友に勧められて以来、青春をチャットモンチーと歩んだと言っていい。部活をサボってラジオの公開放送を見たり、聖地巡礼と称して出身地の徳島を訪ねたり。メンバーの変遷があっても、変わらない力強い音が大好きだった。

だが、最後のライブには行けなかった。その日はカレーを食べる佐竹敬久知事を取材していた。ライブの模様を収めた作品が先日発売され、深夜に何となく後ろめたい気持ちで見た。デビューから13年、音楽を追及し続けた姿が詰まっていた。そして、全ての曲に自分の思い出がひもづいていると感じた。

「思い出なんていらないって つっぱってみたけれど いつだって過去には勝てやしない」

最後に演奏された曲の一節だ。チャットモンチーの「現在」は二度と更新されないのだろうか。何かを失ってから、その大切さに気づくことがある。やり切ったという彼女たちの思いとは裏腹に、心には穴が開いている。いつか「未来」を聞きたい。

(朝日新聞秋田版 2018年11月28日掲載)

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