あいたいAAB

新岡 智昭

カメラマンの嗅覚に感謝

先月1日、私と佐藤見(けん)カメラマン(周囲に佐藤姓が多く、親しみを込め「見さん」と呼んでいる)は沖縄にいた。日本ハムの2軍キャンプに臨む吉田輝星投手の取材だ。大勢の報道陣が殺到するため、「独自の切り口が欲しい」と考えていた。

しかしチャンスは訪れない。吉田投手の一挙手一投足を皆がほぼ同じ場所から撮るのだから、それは当然。どうしたものかと思案していると、見さんがつぶやいた。「柿木君ってすごい……」

大阪桐蔭の柿木蓮投手のことだが、見さんが注目したのはその所作。新人の中で誰よりも積極的に雑用を買って出る姿を捉えていたのだ。「高校時代は逆に『先輩が動いて後輩たちに見せる』という指導だった。周りを見る練習にもなる」。柿木投手は事もなげに話した。激しいチーム内競争を勝ち抜いた彼らしい発言に襟を正す思いがした。

「昨夏の甲子園を沸かせた2人」だけにとどまらず、彼がいかに素晴らしいライバルであるか。そんなことも伝えたくて後日、特集を作った。それを可能にしたのはカメラマンの「これはトピックになる」と感じた嗅覚に他ならない。放送では言えなかったのでこの場を借りて御礼申し上げる。ああ、もっと自分も嗅覚を研ぎ澄ませないと。

(朝日新聞秋田版 2019年03月13日掲載)

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