社長ブログ

2018/06/13

映画「共犯者たち」を観た | 桜井 元

 韓国で26万人が観たというドキュメンタリー映画「共犯者たち」の上映会とシンポジウムがある、と新聞社の後輩から連絡をもらって、10日に立教大学へ出かけた。

 監督の崔承浩(チェ・スンホ)さんは、韓国のラジオ・テレビ兼営局「文化放送」(MBC)の調査報道番組のプロデューサーだったが、李明博政権が筆頭株主の公益財団「放送文化振興会」(MBC株式の70%保有)の理事長に大統領の側近を送り込むなど、露骨な政治介入の結果、社員のストライキを指導したとして2012年に解雇された。

 同年7月からネットでニュースを出し始めた崔さんらのグループが、翌年、非営利メディア「ニュース打破」を設立。会員35,000人の会費で運営される。この取材活動から生み出された2作目の映画が「共犯者たち」だ。

 李明博政権はまず、検察、国税庁なども動員して、公共放送「韓国放送公社」(KBS)の社長を交代させた。続いて、株式会社ながら準公営放送とされるMBCにも圧力をかけ、両社は政治権力におもねって高視聴率のニュース解説・情報番組の放送を打ち切り、「大統領からこんにちは」といった政府広報番組をつくり、抵抗するアナウンサー、ディレクター、記者らを次々に解雇したり、関連会社が経営するスケート場の管理事務所に配置転換したり――そんな放送局の経営者こそ権力の「共犯者」ではないか、と厳しく問うている。

 両社は、朴槿惠政権下の2014年、高校生ら約300人が死亡したセウォル号沈没事故の際、政府の情報を鵜呑みにして「全員救助」と誤報。朴大統領を退陣に追い込んだ市民運動もまともに報道せず、視聴者に見放された。

 朴政権が倒れ、昨年5月に文在寅政権が誕生。8月の映画公開後も、両社では労組のストが続き、ついに両社の経営陣が相次いで辞任、何と崔監督自身が12月、MBCに復職、新社長に選ばれるという「大逆転劇」があった。

 シンポジウムの冒頭、挨拶に立った崔さんは「市民とメディアの連帯が何より必要だ」と強調。「文大統領からは、まだ一度も(注文の)電話がかかってこない」と笑わせた。

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